もう悩まない!骨粗鬆症診療<改訂第2版>
あなたの疑問にお答えします
好評書改訂版!骨粗鬆症関連GLの改訂に合わせ解説をアップデート
目次
1 章 誰が治療の対象か?
01 有症状の骨粗鬆症患者をどうする?─整形外科では?
02 骨粗鬆症患者はどのように探す?─内科では?
03 骨粗鬆症検診の現状と展望は?
04 FRAX®はどう役立てる?
2 章 診断と鑑別診断は?
05 「原発性骨粗鬆症の診断基準」はどのように使う?
06 続発性骨粗鬆症を見つけるには?
07 続発性とも違う「骨粗鬆症もどき」はどう見わけるか?
3 章 検査はいつ,何の目的で,何を測るのか?
08 骨密度測定が必要なときとその方法は?
09 骨代謝マーカーを検査する目的は? いつ,何を測るか?
10 骨代謝マーカー以外の血液・尿検査はいつ,何を目的に実施するのか?
4 章 いつ治療薬を始めるか,いつまで続けるのか?
11 いつ治療薬を始めるのか? その目的と目標は?
12 休薬するのか変更するのか? その判断時期は?
13 ビスホスホネートをいつ休薬するか?
14 二次性骨折予防にどう取り組むか?
15 国際骨粗鬆財団の推進するCapture the Fracture®とは?
5章 治療薬の選択は?
16 治療開始時の薬剤選択の根拠は何か?
17 どのような患者に骨形成薬ファーストを推奨するか?
18 治療薬の有効性をどう評価するのか?
6 章 治療薬の切り替えは?
19 治療効果が不十分と判断するのはどのような場合か?切り替えはどうするか?
20 治療効果が十分と判断するのはどのような場合か?そのようなときはどうするのか?
21 テリパラチドからの切り替えはどうするか?
22 ロモソズマブからの切り替えはどうするか?
23 デノスマブからの切り替えはどうするか?
7 章 様々な病態を合併する骨粗鬆症の治療は?
24 摂食障害など栄養障害のある若年者の治療は?
25 妊娠後骨粗鬆症の治療は?
26 男性骨粗鬆症の治療は?
27 小児期の骨粗鬆症治療は?
28 グルココルチコイド治療患者に対する骨粗鬆症対策は?
29 2型糖尿病患者に対する骨粗鬆症対策は?
30 慢性腎臓病(CKD)患者に対する骨粗鬆症対策は?
31 乳がん・前立腺がんのホルモン療法中の患者に対する骨粗鬆症対策は?
8 章 薬物療法以外の骨折予防策は?
32 食事の指導はどうするか?
33 サルコペニア対策はどうするか?
34 運動指導やロコモーショントレーニング(ロコトレ)は有効か?
35 どのようなときに椎体骨折患者の外科的治療を考えるのか?
9 章 患者への説明と指導はどうする?
36 骨粗鬆症マネージャー®とは? その役割は?
10章 今さら聞けない骨粗鬆症の基礎
37 原発性骨粗鬆症の病態生理とは?
38 骨粗鬆症と骨折の疫学─日本の動向は?
39 骨粗鬆症治療薬の「有効性」はどのように評価されているのか?
11章 治療薬を安全に使うためには?
40 歯科医師からビスホスホネートやデノスマブの休薬を求められたら?
41 非定型大腿骨骨折の予防はどうする?
42 活性型ビタミンD3 製剤を処方するときの注意点は?─いまだに侮れない高カルシウム血症と急性腎障害
43 ロモソズマブの安全性に関する注意点は?
44 デノスマブを休薬する場合の注意点は?
45 選択的エストロゲン受容体モジュレーター(SERM)を処方するときの注意点は?
序文
序文
医学・医療の世界は日進月歩であり,骨粗鬆症の診療においても例外ではない。とはいえ,初版が出版されて僅か2年半の経過で,この度改訂第2版を上梓する運びとなったことは,この領域に対する関心の高さによるものと拝察される。
近年の骨粗鬆症治療薬の開発には目覚ましいものがあり, 薬理作用や投与方法において多様な薬剤が使用可能となっている。また,今や骨粗鬆症は生活習慣病のひとつと認識されるようになっており,その診療にあたっては,食事(栄養)・運動・生活習慣・薬剤など多岐にわたる知識を必要とする。さらに,長期間にわたり治療を継続することが必要であり, 個々の患者に適したテイラーメイド医療を提供していくことが求められる。一方で,薬物治療が長期化することにより,稀ではあるが重大な問題が発生する可能性があり,積極的に骨粗鬆症治療を進めようとする際には,これらに関する理解が必要となる。
骨粗鬆症は国内患者数が1,500万人を超えると推定されるcommon diseaseであり,それを専門としない医師が診療に携わる機会が多く,高齢者の増加に伴い今後その必要性はますます高まることが予想される。そのため,非専門医が診療の現場で抱く多くの疑問に対して,簡潔かつ適切な情報を得るためのコンパクトな情報源が望まれている。
骨粗鬆症の治療に関して特筆すべきことは,evidence based medicine(EBM)を実践するための堅牢な基盤が築かれていることである。本症の治療薬の嚆矢となったアレンドロネートの臨床開発の過程は,まさにEBMのお手本であり,EBMに基づいた新規治療薬の開発に先鞭をつけたといっても過言ではない。それに倣い,本書の内容の多くはEBMに即したものとなっている。そのため,非専門医がまさしく「もう悩まない!」で実践できる情報が本書には満ちあふれている。
本書では,診療現場で遭遇する疑問を抽出し,全ての領域で必要かつ十分な最新の情報を提供することをめざした。日々の診療の合間にふと疑問が浮かんだら, その答えはきっと本書の中であなたを待っているはずである。
2024年1月
虎の門病院副院長・内分泌センター長
竹内靖博