jmedmook93
あなたも名医!ジェネラリストの不整脈診療
外来で活きる23の疑問とTips
非不整脈医から普段相談されるコトをまとめました
目次
第1章 症候
1 動悸を訴える患者にどのように対応する?
2 失神を訴える患者にどのように対応する?
第2章 心房細動
1 AFの頻脈発作への初期対応は?
2 AFにおける抗凝固療法の適応,使いわけ,コツは?
3 AFレートコントロールの適応,使いわけ,コツは?
4 AFの抗不整脈薬の適応,使いわけ,コツは?
5 AFの患者への生活指導や基礎疾患管理のコツは?
6 AFアブレーションの適応判断は?
7 AFアブレーション後の注意点・合併症は?
8 AFアブレーション後の薬剤調整のコツは?
9 経カテーテル的左心耳閉鎖術の適応判断は?
第3章 上室不整脈
1 心房期外収縮の頻発や連発に出会ったらどのように対応する?
2 Δ波に出会ったらどのように対応する?
3 narrow QRS tachycardiaへの初期対応は?
4 AFLに出会ったらどのように対応する?
第4章 徐脈性不整脈
1 有症候性の徐脈発作への初期対応は?
2 AF停止後の心停止 徐脈頻脈症候群はどのように対応する?
3 ペースメーカの適応判断は? 植込み後の注意点は?
第5章 心室不整脈・突然死
1 心室期外収縮,非持続性心室頻拍に出会ったらどうする?
2 wide QRS tachycardiaへの初期対応は?
3 ブルガダ症候群に出会ったらどのように対応する?
4 QT延長に出会ったらどのように対応する?
5 ICDの適応判断は? 植込み後の注意点は?
序文
“不整脈って循環器の中でも結構専門性が高いよね”
“アブレーションとかデバイスのことは「電気屋さん」に任せておけばいい”
といった声を時折耳にしますが,この本を手に取って下さる皆さんは,心の奥できっとこう思っているのではないでしょうか。
“失神した患者が受診した際,かかりつけ外来で実践できるtipsを知りたい”
“毎日外来で診る心房細動の最新のマネジメントができるようになりたい!”
“ホルター心電図をオーダーしても,結果解釈や説明が適切にできているか心配だ……”
“アブレーション後にかかりつけ医が注意すべきポイントは? 薬はどうすればいいの?”
“ペースメーカの手術を受けた後の注意点で,かかりつけ医も理解しておくべきことは?”
“健診でBrugada型やΔ波が指摘されたら,全例紹介しないといけないの?”
外来現場で日々出くわす,これらの不整脈診療の疑問に丁寧に答えるジェネラリストのための“1冊” を,今回上梓することができました。全国各地にて臨床最前線で活躍する,プライマリ・ケアや一般外来診療にも精通した6人のaround 40世代の不整脈医がお届けいたします。医師のみならず,不整脈診療に関わるすべてのメディカルスタッフ,関連企業の皆様にも必ず一助となるはずです。普段“カテを握っている” ことが多い医師が,“どのようなプロセスでこの患者さんをカテ台に上げて治療するに至ったのか”を追想できると確信しています。
私たちの想いは1つです。
“不整脈で困るすべての患者さんが,かかりつけ医から専門医まで,最適かつシームレスな不整脈診療を受けられますように”
当然,不整脈専門医だけでこの理想を実現することはできません。今回この本を手に取って下さった皆様と“共通言語” を増やすことで,“ワンチーム” でより良い不整脈診療を,より多くの患者さんに届けることができたら嬉しく思います。
最後に,このプロジェクトをサポートして下さった日本医事新報社の木村様,谷口様に,この場をお借りして感謝申し上げます。
2024 年7 月
東北大学病院循環器内科
佐藤宏行
レビュー
永嶋孝一(日本大学医学部附属板橋病院循環器内科准教授)
不整脈の最新知識をアップデートしたい貴方に贈る都合の良すぎる“激推しバイブル”
「近年の不思議な気配を諸君はもう感じただろうか……。循環器の教科書が年々厚くなっているのか,それとも諸君の目の錯覚なのか……」そんなホーンテッドマンションのような台詞の背景には,年々爆増する治療法やエビデンスがある。毎年出る新薬やカテーテル,それを使用した大規模臨床試験,結果に伴い改訂されるガイドライン,改訂も追いつかず,取り急ぎのフォーカスアップデート版……。知識のアップデートが追いつかない。と書いた矢先に,新しい臨床試験がXでポストされている。 まさにエビデンスのビッグバン……。なんかカッコイイ響きだったので書いてみただけだが,ひとえに循環器といっても虚血性心疾患や不整脈,心不全,心エコー分野に細分化され,それぞれの小宇宙がビッグバン……。人間の記憶できる範囲を優に超えている。不整脈専門医の僕にとって,最近のステントやFFRを正確に覚えるのは厳しい。PCI後のDAPTの期間がギリである。HFpEFの診断も怪しいのに,「HFmrEFの“mr”が,“mid-range”から“mildly reduced”に変更された」とか,無駄に覚えることを増やすのは本気でやめてほしい。だいたいHFmrEFってどう読むんだ。そんなことに囚われていると,もう最近のなんちゃらショナルMRとか,ガチで無理無理無理無理。なんだ,hANPってもう過去の薬?知らなかった。 とはいえ,分厚い専門書を最初から読む気力も時間もない……。 非不整脈医も同じ思いではなかろうか。毎年のように出る心房細動のエビデンス……。 「リズムコントロールとレートコントロールって,予後は一緒じゃなかったの?」 「クライオ,焼くヤツ,パルスフィールド……どれでもよくね?」 「HAS-BLEDも無理なのに,HELT-E2S2とか勘弁! CHADS2がギリ!」 そんな悩める非不整脈医に朗報である! 日常診療でよく遭遇する不整脈疾患について,基本的な病態の復習から最新の大規模臨床研究の結果,ガイドラインの推奨まで,まるで不整脈医が個人授業をしてくれているような教科書,『ジェネラリストの不整脈診療』が出た。 第1章では,不整脈診療で避けて通れない「動悸」と「失神」という2症候について,どれだけ解像度の高い問診と鑑別ができるか,そのコツを解説。 第2章では,心房細動を診た際の初期対応,抗凝固療法,アブレーションの適応とそのエビデンス,さらには最新の左心耳閉鎖術まで,心房細動に関するすべての知識がココに。さらに,外来で重要な,睡眠時無呼吸やアルコールやカフェイン,喫煙,運動などの生活習慣と心房細動の関係についてもまとめてある。 第3章では,全医師の嫌いな疾患No.1である上室頻拍の鑑別と抗不整脈薬について,丁寧に解説。こりゃ不得意が得意に変わることもあるのでは? 続く第4章では,徐脈性不整脈やペースメーカーの適応,さらに最新のリードレスペースメーカーにも追いつける内容。 そして第5章では,不整脈専門医ですら覚えられない遺伝性不整脈の診断やICDの適応の極意。 本書は,不整脈医であっても診察室に置いておきたいと思わせる1冊である。時間をかけずに不整脈の最新知識をアップデートしたい循環器内科医や内科医にとって,都合の良すぎる「激推しバイブル」である。