「医師」にとっての訪問看護
知識・技術・こころ
かかりつけ医が訪問看護制度を活用するために!
目次
第1章 訪問看護の流れと医師の守備範囲
第2章 様々な事例に対する対応;医療サービスの提供方法
第3章 訪問看護への参加 ネットワークづくり
第4章 経営面からみた訪問看護
序文
制度開始から、あっという間に在宅ケアの最前線に躍り出た「訪問看護ステーション」。今や量的拡大のみならず、質的な向上をめざしており、『ようやる』と認められつつある。
訪問看護に関する解説書は多数出ているが、知るかぎり、看護婦向けのものであり、医師との連携についても、その重要性を強調する記述がみられるだけである。むしろ、このニューパワーにどう対処したらいいのか、医師向けの本が必要なのではないかとの日本醫事新報社からのヒントに、私もこれは大きなテーマになると感じていた。訪問看護ステーションが増加するにつれて、医師として様々な対応の仕方があることをみてきたが、単に形式的な“指示書の書き屋”になってしまうのは将来とも好ましくないのではないかと思っていた。まさに訪問看護との連携問題は、かかりつけ医として、医師会として、そしてチーム医療のコンダクターとしての医師の本質的なあり方にかかわる問題であると一致し、一気に執筆編集に合意したのである。在宅ケア事例への対処の仕方とともに、当然ながら「訪問看護ステーション」を設立するための知識とノウハウも本書の目的のひとつになった。
_x0080_本書においてお断りしなければならないのは、内容の重複が多いこと、著者によるニュアンスの相違があることである。執筆者は地域医療・在宅ケアの分野でいずれ劣らぬ実践家であり、むしろ無理に統一しないほうが、多様な考え方の存在が理解されるという判断に基づくものである。医療機関による「訪問看護」をも広く視野に入れて論じられている節もあるが、これも本書の主旨からのものなのでご理解願いたい。
_x0080_本書は茨城県医師会あげて委員会等の了解・協力を得て執筆されたものであり、ご意見、ご批判をお寄せ頂ければ幸いである。そして発刊を全面的にお世話願った日本醫事新報社出版局の加藤範也氏に厚く感謝を申し上げる。
_x0080_平成9年3月
_x0080__x0008_執筆者代表 今高國夫