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あなたも名医!身体所見 × 心エコー 診察と同時に進めるケース別フィジカル心エコー【電子版付】
身体所見と心エコーで診断精度を上げる!
目次
1 章 総論
① 身体所見→心エコーのつなげ方
② 心エコー→身体所見のつなげ方
③ 外来で活かす身体所見と心エコー─POCを中心に
2 章
〈A〉心不全
① 左室駆出率の保たれた心不全(HFpEF)
② 左室駆出率の低下した心不全(HFrEF)、左室駆出率の軽度低下した心不全(HFmrEF)
〈B〉虚血性心疾患
① 心臓の虚血─虚血性心疾患
② 末梢の虚血―末梢動脈疾患
〈C〉大動脈の異常
大動脈瘤
〈D〉弁膜症
① 大動脈弁狭窄症(AS)
② 大動脈弁逆流症(AR)
③ 僧帽弁狭窄症(MS)
④ 僧帽弁逆流症(MR)
⑤ 三尖弁逆流症(TR)
〈E〉その他
① 先天性心疾患─ 心房中隔欠損(ASD)、心室中隔欠損(VSD)
② 収縮性心膜炎
③ 肺高血圧症
索引
序文
巻頭言
本書では、身体所見と心エコー図を的確に組み合わせる方法を提示する。身体所見は総合的診断が得意。ただし、可視化が苦手で情報共有は困難である。一方、心エコー図は可視化が得意。ただし、個別の所見に注目するあまり全体感に欠けてしまうことがある。そこで両者を組み合わせること、身体所見と心エコーの組み合わせは、的確に効率的な医療を展開する鍵を握っている。
私の失敗は、それぞれを別々に学んだことである。エコーはエコーの本を読み、身体所見は身体所見の本を読んだ。身体所見の本には「身体所見は心エコーに殺された」と書いてあった。それでは、心エコー図が身体所見の代わりになったかと言えば、そうではなかった。私の知る限り、一流の医師は実践の中で両方を活かしていた。どうやってそれを手に入れたのだろうか。
答えは振り返ることだった。身体所見と心エコー図の整合性をベッドサイドで繰り返し確かめていたのである。また回診の場はただのショーではなく、画像診断と身体所見を結びつける貴重な機会であった。しかし、コロナ禍の中で密になりがちな回診の機会は激減している。そもそも効率化を求められた現場では多くのスタッフが一堂に会する回診は減っていたが、コロナ禍が最後の決め手になり、回診は消滅してしまった。
このようなタイミングで、一人でも多くの医師に身体所見と画像診断を結びつける機会を提供するために本書は企画された。本書では、すべての項目で身体所見と心エコー図を関連づけることで、知識を経験につなげることをめざしている。それぞれの著者は、私が信頼する一流の実践者である。実践しなければわからない身体所見と心エコー図のつながりをそれぞれの言葉で記載していただいた。
ぜひ、コロナ禍の中でも、本書を通じて皆さんの診療現場の診断の精度が上がり、それが最適な医療の提供に結びつけられることを願う。
2022年5月
東京ベイ・浦安市川医療センター
渡辺弘之