最小限で最大効果を得る!
高齢者頻用薬ミニマム処方戦略【電子版付】
目次
1章 総論
- 高齢者を診る心構え
- 加齢に伴う変化(薬物有害事象の発生を含む)
- アドヒアランスの低下
- ポリファーマシー(総論)
2章 各論
- スタチン(HMG-CoA還元酵素阻害薬)
- PPI(プロトンポンプ阻害薬)
- BZD(ベンゾジアゼピン系薬剤)
- 抗うつ薬
- 抗凝固薬
- 抗血小板薬
- ビスホスホネート製剤
- 鎮痛薬(非がん,慢性疼痛)
- ビタミンD製剤
3章 病態編
- 誤嚥性肺炎
- せん妄
- 転倒・骨折
- フレイル
- 多疾患併存状態(multimorbidity)
- 処方カスケード
- 体重減少
- 緩和期(非がん,慢性疾患の終末期)
4章 ポリファーマシー
- 多職種による介入
- 薬剤師との連携
- 必要悪としてのポリファーマシー
- 患者の視点を取り入れる
- ポリファーマシー下での過小処方
- 薬をやめる,減らすときのコミュニケーションとサポート
序文
高齢者診療において,スッキリしない,モヤモヤする,正解も,整理の方法もわからない……といったジレンマに陥る医療者は少なくないと思います。
誤嚥性肺炎で入院するたびに絶飲食,せん妄となり,不穏に抗精神病薬が追加されていくケース,股関節骨折の既往はあるが骨粗鬆症の治療はされず,再び股関節骨折をきたすケース,患者もかかりつけ医も処方の経緯の詳細がわからず,多大な内服リストがあるケース,自宅で大量の残薬がみつかるケース,多疾患併存で,エビデンス通りだととんでもない量の薬になるケース,ポリファーマシーによる有害事象が出ていても患者が内服継続を強く望むケース,予後も限られているのに,この薬は必要なのかと悩むケース……。
このように複雑性に富む高齢者診療に,magic bulletはありません。目の前の診療にどれくらい真摯に取り組んできたか,その積み重ねに尽きるのです。そもそも何をゴールとするのか,患者や家族の希望や価値観,医療のリソースによっても方向性は変わってきます。しかしそれでも,うまく診られるようになるための視点や考え方,エッセンスというものがあります。
本書は,こうした高齢者診療のジレンマについて,「診療のエッセンス」「頻用薬のミニマム処方・適正化」「頻度の高い病態と薬の減薬・見直し」「ポリファーマシー」の4つのテーマにわけて解説しています。高齢者診療における頻用薬をリストアップし,エビデンスに基づくミニマム処方の判断基準から,薬をやめる,減らすときのコミュニケーションとサポートのあり方まで,実地診療に即した内容となっています。
最後に,本書は,日本医事新報社の荒井美幸氏の企画から刊行に至るサポートなしには生まれませんでした。さらに,本書の趣旨にご賛同頂き,多忙な時間を縫い素晴らしい原稿に仕上げてくださった先生方,日々の診療を支えてくれている職場の同僚,そして,陰ながら支えてくれている家族へ,この場を借りて深く御礼を申し上げます。
本書が臨床現場において,高齢者診療の一助になれば幸いです。