医学教育イントロダクション
医療系学生を支えるすべての指導者へ
医療系学生、新人医療者を迎える方、必読!
目次
第1章 現在の医学教育のトレンド
- 世界の医学教育の歴史
- 日本の医学教育の歴史
- 世界の医学教育の課題
- 日本の医学教育の課題
- 教養教育の意義
- 行動科学教育
- 基礎医学教育
- 社会医学教育
- リサーチマインド教育
- データサイエンス・AI教育
- キャリア教育
- 早期臨床体験実習
- ケアマインド教育
- 臨床倫理教育
- 地域医療教育
- 総合診療教育(総合性の涵養)
- 臨床安全教育
- プロフェッショナリズム教育
- 多職種連携教育
- 共用試験CBT
- 臨床実習前OSCE
- 診療参加型臨床実習
- 臨床実習後OSCE
- 医師国家試験の傾向
- 初期臨床研修制度
- 専門医教育
第2章 医学教育の様々な考え方と理論
- コンピテンシー基盤型教育
- コンピテンシーとEPAs
- 医学教育モデル・コア・カリキュラム
- インストラクショナルデザイン
- アクティブラーニング
- 成人学修
- problem-based learning(PBL)
- ミラーのピラミッド
- 指導に役立つ教育理論①
- 指導に役立つ教育理論②
- 経験型学習理論
- シミュレーション教育法
- オンライン教育の注意点
- ICTの活用
- 模擬患者教育
- アンプロフェッショナルな行動への対応
- 臨床実習中の患者医療安全に対する考え方
- 原級留置生に対する学修支援
- 学生生活における合理的配慮
- 保健管理室の意義
- 学習者評価,360度評価とworkplace-based assessments
- カリキュラム編成における3つのポリシー
- カリキュラムコーディネーター(E-manager)の役割
- グローバル化への対応
- カリキュラム・プログラム評価
- IR室の意義
第3章 良き教育者であるための実践
- 臨床研修指導医講習会
- 屋根瓦式教育の活用
- 医療者教育とマインドフルネス
- デブリーフィングとフィードバック
- 医学生の基本的な指導原則
- 初期臨床研修医の基本的な指導原則
- 後期専門研修医の基本的な指導原則
- 多職種連携教育推進のために診療参加型臨床実習でできること
- 学習分析─教育データを用いた支援方法と注意点
- 指導対応例① やる気がない
- 指導対応例② 実習先での患者とのトラブル
- 指導対応例③ 実習先での医療者とのトラブル
- 指導対応例④ 実習先での針刺し事故
- 指導対応例⑤ 実習先でのインシデント・アクシデント
- 指導対応例⑥ 学生同士のトラブル
- 指導対応例⑦ 試験における不正行為
- 指導対応例⑧ 精神的支援
- 指導対応例⑨ 身体的支援
- 指導対応例⑩ 進路相談─研修医マッチングを例として
序文
監修のことば
医師になるのはたいへんです。理解すべき知識量は膨大ですし,手術や処置など技能の修得も必要です。そして何より,患者や多くの医療関係職種と触れ合う仕事ですから,人間性とプロフェッショナリズムを身につけることが必須です。そのような医師を「育てる」ための「医学教育」が重要であることは言うまでもありません。
しかしながら大学教員には,初等中等教育者に必要な「教員免許」のようなものは必須ではありません。我々は教育学部で教育学・教育理論を学んだような「教えるプロ」ではないのです。経験的に培われてきた「職業人教育」の要素,つまりプロがプロを育てる教育が現在の医学部教育でも脈々と受け継がれています。「背中を見て学ぶ」とか「技術を盗む」とか「見習い」といった言葉は歴史的な職業人教育の象徴ですが,このような要素はいまだ医師養成課程には存在しています。今,医学部の高学年で行っている診療参加型臨床実習のことを「クリニカル・クラークシップ(clinical clerkship)」と呼んでいますが,clerkとはもともとは「書記」のことであり,徒弟制の名残を感じさせます。
一方で,欧米から新しい医学教育理論がどんどん紹介されています。さらに医学教育分野別認証評価によって,わが国の医学部も世界共通基準をもとにして評価される時代がやってきました。単なる職業人教育にとどまらず,教育理論に裏打ちされた,言うなれば「evidence-basedな医学教育」を実践する必要があります。かといって,我々は「教えるプロ」ではないのです……どうすればよいのでしょうか。
このような状況下において,本書の存在意義があるものと考えます。
本書では,まず現在の医学教育における「トレンド」を解説します。そして最新の医学教育理論についてわかりやすく説明します。さらに,そのような考え方に基づいて実際に医学教育を実践するにあたって必要な,現場での教育スキルや具体的な事例を紹介する,という構成になっています。この構成は本書の編著者であり,本学医学教育センターで活躍されている副センター長・駒澤伸泰先生のアイディアです。先生の医学教育における豊富な経験と理論によって生み出されたものであると感じました。きわめて実践的であるとともに,最新の教育理論がしっかりと解説されています。
本書を医学教育に携わるすべての方に推薦致します。