顔の美容外科手術
目次
- 埋没法重瞼術
- 全切開法重瞼術
- 眉下リフト
- 目頭切開,目尻切開,下眼瞼下制術
- 眼瞼下垂
- 経結膜脱脂術,脂肪注入術
- 隆鼻(鼻すじ)
- 鼻尖形成術
- 鼻翼形成術
- ホホ(下頬部)+アゴ下(顎下部)の脂肪吸引とbuccal fat(頬脂肪体)除去術
- スレッドリフト
- フェイスリフト
- フィラー注入
序文
医療は元来,生命の維持を目的としてきた。しかし,生活が豊かになり,価値観の多様化・平均寿命の延びやメディアの発達による情報量の増大などにより,容貌を改善させる美容医療が出現した。特にレーザーなどの非侵襲的な治療やボトックス・ヒアルロン酸など,いわゆる「プチ整形」の出現により治療に対するハードルは低くなり,この四半世紀で美容医療を希望する患者は飛躍的に増加した。
同時に美容医療を専攻したいという医師も増加しているのだが,その治療技術を習得する環境は相変わらず整っていないのが現状である。医学部では様々な分野の講座があり学生に教育を行っているが,「美容医療」を系統立てて教えている大学は非常にめずらしい。形成外科学講座で「美容外科」も同時に標榜している大学もあるが,保険診療を基本としているため主体は形成外科であり,純粋な美容手術の患者は非常に少なく研修の機会に恵まれているとは言えない。美容専門のクリニックで治療技術を習得するのが現実的だが,多くのクリニックは小規模であり,教育に割ける人的資源や予算は決して多くない現状である。
湘南美容クリニックは2000年に産声を上げ, 以降分院を増やし現在では100分院を有する規模に拡大し,在籍医師は300人,年間のべ患者数は240万人を超えるようになった。その過程で大きな問題になったのが,「誰がどのように美容医療技術を教えるか」である。毎年,経験年数,出身科の異なる数十名もの入職者に対し,安全を確保しながら良好な結果を出せるよう基本的な美容医療技術を効率的に教える必要がある。この難題を解決するために,技術教育を主業務とする人材を確保してチームを作り,若手医師の指導や教育システムの構築・改善にあたっている。
本書は湘南美容クリニックで若手医師の指導にあたっている医師が主体となり,需要の多い「顔」の美容外科手術について執筆した。手術手技はもちろんであるが,正しい手術適応の判断の仕方,初心者が陥りやすいピットフォールなどを含め,実際の診療にすぐ生かせる内容を平易に記述することを心がけた。多数の症例を通した経験に基づく内容が中心になっている。
美容医療は人を幸せにすることを目的としている。本書を通じて,美容手術を安全に行い,最大の効果をもたらすことで一人でも多くの人を幸せにして頂ければと願っている。
2021年1月
湘南美容クリニック辻堂アカデミア院 院長
湘南美容クリニック 統括技術指導医
飯田秀夫
正誤表
下記の箇所に誤りがございました。謹んでお詫びし訂正いたします。
下から1行目
〈誤〉隔膜より1~2mm上部→〈正〉隔膜より1mm程度上部
第1版1刷,2刷にて
2行目
〈誤〉隔膜から2~3mm上部→〈正〉隔膜から1~2mm上部
第1版1刷,2刷にて
〈誤〉インプラントが大きすぎる場鋏やメスを使って→〈正〉インプラントが大きすぎる場合、鋏やメスを使って
第1版1刷にて
下から3行目
〈誤〉隔膜から1~2mm上部→〈正〉隔膜から1mm程度上部
第1版1刷,2刷にて