麻酔への知的アプローチ 問題集【電子版付】
解いて、知って、理解する
専門医取得に役立つ新定番!
目次
1:麻酔科学の発展性
2:麻酔は知的ゲーム
3:麻酔計画法
4:麻酔科医に必要な資質
5:麻酔科領域特有の疾患対処法
6:麻酔の安全対策
7:周術期における感染対策
8:術前診察と術前投与薬、術前経口摂取
9:麻酔導入
10:気道確保の基本的ストラテジー
11:気道のトラブル
12:筋弛緩薬とその拮抗
13:全身麻酔の維持と覚醒
14:気管挿管と陽圧呼吸の持つ本質的問題
15:循環モニタリング
16:輸液と電解質管理
17:輸血療法と凝固管理
18:脊髄くも膜下麻酔・硬膜外麻酔・神経ブロック
19:術後鎮痛と鎮静
20:体温管理と悪性高熱症
21:術後早期合併症と麻酔後回復室
22:脳神経外科手術の麻酔
23:心臓麻酔と循環管理
24:胸部外科手術の麻酔
25:産婦人科麻酔
26:小児麻酔
27:整形外科手術の麻酔
28:泌尿器科手術の麻酔
29:耳鼻咽喉科・眼科手術の麻酔
30:緊急手術の麻酔
序文
『麻酔への知的アプローチ 第11版』(以下、知的アプローチ)、を2020年に出版するのと同時に、この問題集を作成することを企画した。当初の目的は、『知的アプローチ』の内容について確認し、その知識や考え方を復習するというものであった。しかし、途中からこの問題集の目的は広がり、『知的アプローチ』では含めることのできなかった、①解剖学や薬理学などの基礎医学の知識、②他診療科との共通言語を持つための他診療科の関連知識、そして③最新の論文の知識を盛り込み、知識の幅を横に広く、縦に深くすることとした。この問題集の位置づけは『知的アプローチ』を補完するものであるが、『知的アプローチ』に限らず、独立した問題集としても十分に成立する本であると思っている。したがって、解説はかなり丁寧に行い、必要に応じて文献まで遡れるようにしてある。
問題も、比較的容易なものから、かなり高度なものまで含んでいる。麻酔科専門医認定試験の筆記試験準備にも役立つ問題が多いと考えている。解説は主として欧米の標準的な教科書である『Miller’s Anesthesia』や、Barashの『Clinical Anesthesia』、『Stoelting’sAnesthesia and Co-Existing Disease』、Fleisherの『Evidence-Based Practice ofAnesthesiology』、Lobatoの『Complications in Anesthesiology』、各科麻酔では『Kaplan’s Cardiac Anesthesia』、『Cottrell and Patel’s Neuroanesthesia』、『Coteand Lerman’s A Practice of Anesthesia for Infants and Children』、『Brown’sAtlas of Regional Anesthesia』、周辺領域では『Civetta, Taylor, & Kirby’s CriticalCare Medicine』、『 Marino’s The ICU Book』、Deutschmanの『Evidence-BasedPractice of Critical Care』、Dorschの『Understanding Anesthesia Equipment』などを参考にしている。基礎医学分野では『Guyton and Hall Textbook of MedicalPhysiology』、『Nunn’s Applied Respiratory Physiology』、『Stoelting’sPharmacology & Physiology in Anesthetic Practice』、Hemmings and Eganの『Pharmacology and Physiology for Anesthesia』、Evers の『AnestheticPharmacology』などを参考としている。いずれも定評があり、版を重ねているその領域における標準的な教科書である。そのほか、雑誌として『Anesthesiology』や『Anesthesia and Analgesia』、『British Journal of Anaesthesia』、『The NewEngland Journal of Medicine』などの掲載論文を参考にした。日本麻酔科学会をはじめ、諸学会の発行している最新のガイドラインも参考にした。解説を読めば、設問だけでなく周辺知識の理解も深まると考えている。
麻酔科学や周辺学問領域の知見も日進月歩であり、解説の内容や正解も今後は変化していく可能性がある。読者自身が、問題を考え、解説をさらに発展させるように努力して頂ければと考えている。
本書は麻酔科専門医を目指す麻酔科医や、彼らを指導したり、麻酔に関する試験問題を作成する麻酔科専門医や指導医の役にも立つものと信じている。
正誤表
下記の箇所に誤りがございました。謹んでお詫びし訂正いたします。
Q438 解説の下から3,4行目
〈誤〉→〈正〉
【誤】排膿排圧
【正】肺胞内圧
Q115の選択肢「c.」
〈誤〉→〈正〉
【誤】c. 二酸化炭素換気応答は強く抑制される。
【正】c. 二酸化炭素換気応答を強く抑制する。
Q239 表15・3(赤丸部分)
〈誤〉→〈正〉
【誤】
【正】
Q480 A解説に一文補足
〈誤〉→〈正〉
文末に以下を追記。
「2021年に産科危機的出血に対する乾燥人フィブリノゲン製剤が保険適用となった。」
Q142 図11・5
〈誤〉→〈正〉
【誤】縦軸の数値 0 2 2 4 4 5
【正】縦軸の数値 0 1 2 3 4 5
Q218 設問
〈誤〉→〈正〉
【誤】
Q218 モニター心電図電極について誤っているのはどれか。
a. V4電極は第5肋間で中鎖骨線上に貼る。
b. V4R電極は右第4肋間で中鎖骨線上に貼る。
c. V5電極は前腋窩線上に貼る。
d. V6電極は中腋窩線上に貼る。
e. 修正V5誘導CS5では右上肢用の電極は胸骨柄上(central manubrial)に貼る。
【正】
Q218 モニター心電図電極について誤っているのはどれか。
a. V4電極は第5肋間で鎖骨中線上に貼る。
b. V4R電極は右第5肋間で鎖骨中線上に貼る。
c. V5電極は前腋窩線上に貼る。
d. V6電極は中腋窩線上に貼る。
e. 修正V5誘導CS5では右上肢用の電極は胸骨柄上(central manubrial)に貼る。
Q569 解説
〈誤〉→〈正〉
解説6行目
【誤】扁桃出血後の出血は、術後24時間以内に起こるほか、痂疲が剥がれる術後5~6日して起こることもある。
【正】扁桃摘出後の出血は、術後24時間以内に起こるほか、痂疲が剥がれる術後5~6日して起こることもある。
Q042 A解説4行目
〈誤〉→〈正〉
【誤】KOHが多いほうがCO産生は多い。
【正】二酸化炭素吸収剤に含まれるKOHが多いほうがCO産生は多い。