症例を時間で切って深く知る!がん緩和医療
流れでわかる緩和ケア!
目次
症例1 88 歳男性,肺がん,骨転移の症例
Ⅰ.診断から初期治療における症状緩和
1.包括的評価 肺がんを抱えたA さんを理解する
2.ケア目標を設定する
3.症状を緩和する①痛み
症状を緩和する②消化器症状
症状を緩和する③呼吸器症状
症状を緩和する④心情に配慮する
コラム:こんなときのチームアプローチ
Ⅱ.あいまいな病状理解。次のステップに進むためには,どう伝える? どう支える?
1.病名,症状,治療方針を伝える
2.心理・精神的な問題に対処する
3.アドバンス・ケア・プランニング
コラム:こんなときのチームアプローチ
Ⅲ.退院に向けて
1.がんリハビリテーション
2.在宅支援
Ⅳ.在宅医療でできること
1.在宅医療のシステムについて
Ⅴ.End of life ケアへ
1.症状を緩和する①呼吸器症状
症状を緩和する②衰弱PS4 の患者さんのケア
症状を緩和する③厳しい今後の見通しを家族に伝え,家族を支える
コラム:こんなときのチームアプローチ
症例2 50 歳男性,大腸がんの症例
Ⅰ.がん治療過程のサポート
1.社会資源の活用(人工肛門造設後の公的援助)
2.がん就労支援
Ⅱ.複数の痛みと心の沈みに対処する
1.症状を緩和する①腹痛
症状を緩和する②下肢痛
症状を緩和する③適応障害とうつ
症状を緩和する④心理支援
コラム:こんなときのチームアプローチ
Ⅲ.がんを持ちながら仕事を続けるとき
1.がんを持ちながら仕事場とつながっていくことについて
Ⅳ.病状が急速に悪化をしはじめたとき
1.症状を緩和する①嘔吐(腸閉塞)
症状を緩和する②オピオイドの投与経路変更方法
症状を緩和する③肝性脳症
症状を緩和する④せん妄
症状を緩和する⑤腹水と浮腫
症状を緩和する⑥家族の悲しみ
Ⅴ.症状が日単位から時間単位となったとき
1.死の過程を家族にわかりやすい言葉で説明する 2.家族に配慮しながら看取る
コラム:こんなときのチームアプローチ
序文
緩和ケアのスキルや対処方法について書籍で伝えようとするとき,いつも難しさを覚えます。
患者さんは診断時から治療期,治療終了,その延長線上に治癒もあれば死亡もあるわけです。その経時的な流れ…つまり縦断的な流れの中で,その時々のポイントでは複数の問題が発生していたり,複数の職種が関わっていたりと横断的な要素を含んでいます。
つまり縦軸と横軸,さらに縦軸には膨らみがあるため,あたかも3 次元構造のような立体的な展開で人や時間が動いていくのです。
この複雑な縦断性と横断性を,多くの専門家の皆様のご支援により,形にすることができました。本書は「症例1」「症例2」という架空の2 症例を縦断的に置き,ある時点に焦点を当て,横断的なテーマで執筆して頂きました。執筆ポイントが大変具体的なため,「ああ…この医療者の方はこのように取り組まれているのか…なるほど,こういう考え方もあるなあ…」と読んでいてとても興味深く,執筆者の人となりも出ており,通り一遍の教科書とは違う厚みも感じています。
また,臨床でよく遭遇する課題をテーマとしているため,実臨床に応用したり,検討したりしやすいことも特徴で,まだ緩和ケアに携わり始めて時間が経っていない方から,専門的に取り組まれている方まで,多くの読者の方に参考にして頂ける本だと思っています。
最後の取りまとめの時期に大変ご苦労をおかけしましたが,日本医事新報社の村上由佳さんのお蔭で,素敵な書籍として完成させることができました。本当に,ありがとうございました。
この本に関わってくださったすべての方に御礼申し上げると共に,患者さんの苦痛が少しでも緩和され,心地よい時間を過ごしていただくことの一助となりますよう,心から願っています。
2017 年初夏
有賀悦子
正誤表
下記の箇所に誤りがございました。謹んでお詫びし訂正いたします。
〈誤〉→〈正〉
本書に下記の誤り・変更がございますので,訂正するとともに,謹んでお詫び申し上げます。
頁 | 誤 | 正 |
執筆者一覧 |
橋口さおり 慶応義塾大学病院緩和ケアセンター 専任講師・センター長 |
橋口さおり 慶応義塾大学病院緩和ケアセンター 准教授・センター長 |
頁 | 誤 | 正 |
症例2 Ⅱ1.③適応障害とうつ 171頁 表1 |
表タイトル:「うつ病エピソード」 |
表タイトル:「うつ病の診断基準」 引用元:「日本精神神経学会 日本語版用語, 監修, 高橋三郎, 他, 監訳:DSM-5精神疾患の診断・統計マニュアル. 医学書院, 2014. p160-1.より抜粋」 |