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自閉スペクトラム症/自閉症スペクトラム障害(ASD)

登録日:
2017-03-16
最終更新日:
2017-04-03
石飛 信 (国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所児童・思春期精神保健研究部室長)
神尾陽子 (国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所児童・思春期精神保健研究部部長)
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  • ■疾患メモ

    自閉症スペクトラム症/自閉症スペクトラム障害(autism spectrum disorder:ASD)は,米国精神医学会の精神疾患の診断・統計マニュアル(DSM-5)により,社会的コミュニケーションの障害と限局的反復行動(感覚刺激に対する過敏さ/鈍感さも含む)の2つの主要徴候が幼少期早期に出現する発達障害と定義され,従来の自閉症,アスペルガー障害,特定不能の広汎性発達障害などの下位診断群を包含する概念である。最近の疫学研究では1%を超える有病率が報告されている。

    発症には多遺伝子(数百以上が既知)が関与するが,ASDの多様性を説明する機序として遺伝要因と環境要因との複雑な相互作用が想定されている。

    ■代表的症状・検査所見

    【症状】

    〈複数の状況下における社会的コミュニケーションおよび対人的相互反応の持続的な欠陥〉

    相互の対人的・情緒的関係の欠陥:他者と適切な距離感をもって接することが困難である。他者と興味や感情を共有することが少ない。自身の関心事のみに話が集中し,会話が一方通行になりやすい。

    対人的相互反応で非言語性コミュニケーション行動を用いることの欠陥:アイコンタクトや身振り,顔の表情などの非言語的手段を適切に用いたコミュニケーションが不得手である。

    人間関係を発展させ,維持し,それを理解することの欠陥:様々な社会的状況に応じ,臨機応変に振る舞うことが困難である。他者に対する興味の欠如から友人関係を構築することが困難である。

    〈行動・興味・活動の限局された反復的・常同的な様式〉

    反復的または常同的な身体の運動,物の使用,または会話:単純な常同運動(手を叩く,指を弾くなど),反復的な物の使用(おもちゃを一列に並べるなど),反響言語がみられる。

    同一性への固執,習慣への頑ななこだわり,または言語的・非言語的な儀式的行動様式:小さな変化に対する極度の苦痛,たとえばルーチンとしていることに突然の変更などが加わると抵抗を示し,時にパニック状態に陥る。思考における柔軟性がない。儀式的行為 ,たとえば儀式的な挨拶,毎日同じ道順をたどる,毎日同じ食物を食べるなどにこだわる。

    強度または対象において異常なほど,きわめて限定された執着する興味:一般的ではない対象への強い愛着または没頭(鍋や掃除機に強く引きつけられる幼児など),過度に限局または固執した興味(鉄道の時刻表を何時間もかけて書き出す成人など)がみられる。

    感覚刺激に対する過敏または鈍感さ,または環境の感覚的側面に対する並外れた興味:痛み刺激に過度に反応する(注射を過剰に恐れるなど),特定の音に対して敏感である(子どもの泣き声を非常に苦痛に感じるなど),対象を過度に嗅いだり触れたりする,光や一定の動きをするものを見ることに熱中するなどがみられる。

    【検査所見】

    医学的検査では特異的な所見はみられない。

    【診断】

    ASDを疑ったら,幼児期の発達歴,知能検査,本人や家族面接などを総合して上記の主要徴候の有無を確認し診断を行う。この際,主要徴候の現れ方が発達とともに変化することに注意を払う。

    成人ケースで幼児期の情報がない場合は,現症に基づいた判断をする。

    併存症は,主要徴候と関与しながらASD個人のQOLを大きく左右するため,主要徴候のみならず併存症も的確に把握し,包括的視点から状態像の把握を行う。

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