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頸管無力症

登録日:
2017-03-16
最終更新日:
2017-03-28
宮越 敬 (慶應義塾大学医学部産婦人科学教室専任講師)
中村加奈子 (慶應義塾大学医学部産婦人科学教室)
田中 守 (慶應義塾大学医学部産婦人科学教室教授)
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  • ■疾患メモ

    頸管無力症(cervical insufficiency)は,外出血や子宮収縮などの切迫流早産徴候を自覚しないにもかかわらず,子宮口が開大し,胎胞が形成されてくる状態である。本病態は妊娠中期以降に生じ,流早産の原因となる。

    頸管無力症の原因としては,先天的な頸部組織の異常や既往妊娠分娩時に受けた陳旧性頸管損傷が指摘されている。

    妊娠中期に内診(触診)にて子宮口開大を認めることもあるが,既往妊娠分娩経過に基づき,後方視的に頸管無力症と診断されることが多い。なお,経腟超音波における内子宮口開大像は頸管無力症を示唆する所見のひとつとされる。

    ■代表的症状・検査所見

    【症状】

    子宮収縮を伴わないため,通常は無症候性である。

    腟分泌物の増加や少量の性器出血,下腹部不快感を認めることもある。

    【検査所見】

    内診(触診)では子宮口開大や胎胞を触知し,腟鏡診(視診)では胎胞の露見を認めることもある(図1)。

    経腟超音波検査上,妊娠中期における内子宮口開大像や,頸管が短い,いわゆるshort cervix(例:頸管長<20mm)は頸管無力症を示唆する所見とされる(図2)。

    21_07_頸管無力症

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