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卵巣過剰刺激症候群

登録日:
2017-03-16
最終更新日:
2017-03-28
内田 浩 (慶應義塾大学医学部産婦人科学教室講師)
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  • ■疾患メモ

    性腺刺激ホルモンに対する卵巣の反応が過剰となった場合に現れる諸症状を卵巣過剰刺激症候群(ovarian hyperstimulation syndrome:OHSS)として包括する。

    原因のほとんどは排卵誘発剤使用による医原性のものであり,体外受精の過排卵刺激における重症例発生頻度は0.1~2%とされる。

    卵巣の過剰反応により血管内皮増殖因子(VEGF)の血中濃度が上昇し,血管の透過性が異常亢進することにより,サードスペースへの体液貯留,血管内脱水に起因する諸症状を呈する()。

    20_11_卵巣過剰刺激症候群

    ■代表的症状・検査所見

    【症状】

    サードスペースへの体液貯留により,むくみ(浮腫)・腹部膨満感(腹水・卵巣腫大)・呼吸苦(胸水)を訴える。血管内脱水から尿量の減少を自覚することもある。

    【検査所見】

    卵巣腫大:超音波所見,血液学的所見(エストラジオールの異常高値)。

    血管透過性の亢進:血液学的所見(低蛋白血症,電解質異常)。

    サードスペースへの体液貯留:触診所見(浮腫),超音波所見(腹水),胸部X線所見(胸水)。

    血管内脱水:血液学的所見(ヘマトクリット上昇,白血球数上昇,凝固系の亢進),尿所見(量減少,比重上昇)。

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