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口臭症

登録日:
2017-03-16
最終更新日:
2017-07-25
片倉 朗 (東京歯科大学口腔病態外科学講座教授)
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  • ■疾患メモ

    口臭とは,本人または第三者が不快と感じる呼気の総称である。真性口臭症,仮性口臭症,口臭恐怖症に分類できる。

    真性口臭症は,社会的容認限度を超える明らかに口臭が認められる生理的口臭と,何らかの疾患が原因で発生する病的口臭に分類される。

    仮性口臭症とは,患者は口臭を訴えるが社会的容認限度を超える口臭は認めないものを言う。

    口臭恐怖症は真性口臭症,仮性口臭症に対する治療では訴えの改善は期待できず心理精神的治療が必要なものを言う。いずれの場合も客観的口臭の有無にかかわらず,口臭について病的に悩む病態を口臭症と言う。

    ■代表的症状・検査所見

    【症状】

    真性口臭症は,健常人にも発生する生理的口臭と何らかの疾患が原因で発生する病的口臭に分類される。

    生理的口臭は,早朝時口臭,空腹時口臭,緊張時口臭,加齢に伴う口臭であり,ニンニク,飲食物,嗜好品などの摂取による一過性のものは除き,第三者が不快と感じる明らかな口臭が認められる。

    病的口臭は口腔由来と全身由来に分類する。口腔由来の場合は歯周病,う蝕,義歯なども含めた口腔清掃状態の不良,舌苔の付着などの所見があるので,歯科医師による診察も必要である。全身由来のものは耳鼻咽喉科疾患,呼吸器疾患,上部消化管疾患の嫌気性菌による蛋白質の分解による壊疽臭),糖尿病などの代謝性疾患のアセトン臭,肝疾患の硫黄臭など,原因となる疾患に特徴的な臭気がある。

    【検査所見】

    患者が口臭を訴えて来院した場合には,患者が納得できる客観性をもった説明が求められる。自分の口臭を正確に判断できない理由,生理的口臭があること,臭覚で判断しその程度を評価できないことを説明する。

    その上で客観的評価が必要なときはガスクロマトグラフや口臭測定器を使用し,主に揮発性硫化物(volatile sulpher compounds:VSC)の濃度を測定する。その中で,特にメチルメルカプタンが口臭の客観的評価の指標となる。

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