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ラムゼイ・ハント症候群

登録日:
2017-03-16
最終更新日:
2017-07-07
村上信五 (名古屋市立大学大学院医学研究科耳鼻咽喉・頭頸部外科学教授)
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  • ■疾患メモ

    ラムゼイ・ハント症候群(Ramsay Hunt syndrome)は,人口10万人当たり約5人が発症する,ベル麻痺についで多い末梢性顔面神経麻痺である。

    顔面神経の膝神経節にある知覚神経細胞に潜伏感染した,水痘・帯状疱疹ウイルスの再活性化により発症する。

    ■代表的症状・検査所見

    【症状】

    片側性の末梢性顔面神経麻痺,耳介帯状疱疹,難聴・めまいなどの第8脳神経症状を呈する。しかし,これら3主徴を呈する典型例(完全型)は全体の約60%で,残りの40%は顔面神経麻痺に耳介帯状疱疹,あるいは第8脳神経症状のいずれかを呈する不全型である。

    3主徴の発現には数日から1~2週間のタイムラグがあるため,初診時に顔面神経麻痺のみを呈する症例はベル麻痺と診断されることがある。さらに,全経過を通して耳介帯状疱疹や第8脳神経症状を欠く,無帯状疱疹性ヘルペス(zoster sine herpete)が存在し,臨床的にベル麻痺と診断されている。このような症例はベル麻痺の8~25%に存在し,急性期と亜急性期のペア血清による水痘・帯状疱疹ウイルスの抗体価の有意変動(補体結合反応で4倍以上)で診断される。

    【検査所見】

    機能検査:麻痺側で誘発筋電位の低下,アブミ骨筋反射の閾値上昇あるいは消失,流涙低下,味覚の閾値上昇がみられる。

    画像検査:ベル麻痺同様にガドリニウム造影MRIで,発症早期に顔面神経の膝部から迷路部が造影増強される。しかし,造影MRIでベル麻痺とラムゼイ・ハント症候群の鑑別は困難である。

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