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腎盂腎炎

登録日:
2017-03-16
最終更新日:
2017-09-22
松本哲朗 (産業医科大学名誉教授)
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  • ■疾患メモ

    腎盂腎炎には単純性と複雑性があり,単純性は性的活動期の女性に多い。

    単純性腎盂腎炎では症状が強いが,複雑性腎盂腎炎では弱い。

    複雑性腎盂腎炎は,尿路や全身性に何らかの基礎疾患を有する症例に生じた腎盂腎炎であり,慢性化,再発が多い。

    いずれも適切な抗菌薬による治療が必要であるが,複雑性腎盂腎炎では,基礎疾患の診断・治療およびコントロールが重要である。

    ■代表的症状・検査所見

    【症状】

    〈単純性腎盂腎炎〉

    単純性腎盂腎炎では,発熱,全身倦怠感に加え,腰痛,腎部痛や腎部不快感が特徴的である。

    〈複雑性腎盂腎炎〉

    複雑性腎盂腎炎は尿路の基礎疾患によって起こることが多い。

    尿路の基礎疾患としては,尿路奇形,尿路腫瘍,尿路結石,神経因性膀胱,膀胱尿管逆流(VUR),腎機能障害,カテーテル留置時などがある。

    全身性基礎疾患としては,糖尿病や腎疾患,肝疾患など感染症に対する抵抗性が減弱した症例にも起こる。

    複雑性腎盂腎炎では,症状が軽いが繰り返すことが多く,時に単純性腎盂腎炎と同様の症状をきたすことがあり,急性増悪と呼ぶ。

    重症例ではショック症状を呈することもある。

    【検査所見】

    尿検査:膿尿,細菌尿の検出。

    血液検査:白血球増多,CRP上昇,血沈亢進などの炎症反応所見。

    尿培養感受性検査:単純性腎盂腎炎では約80%の症例から大腸菌が分離される。複雑性腎盂腎炎では大腸菌が最も多いが,その他のグラム陰性・陽性菌も分離される。

    血液培養・感受性検査:菌血症を起こしている症例では,血液培養が陽性となる。

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