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後腹膜腫瘍

登録日:
2017-03-16
最終更新日:
2017-06-21
齋藤一隆 (東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科腎泌尿器外科学教室準教授)
木原和徳 (東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科腎泌尿器外科学教室特任教授)
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  • ■疾患メモ

    壁側腹膜と後腹壁の間の領域が後腹膜腔とされるが,骨盤部の腹膜外腔を含め後腹膜腔と総称することもある。ここには後腹膜臓器として,腎臓,副腎,尿管など(膀胱を含めることもある)がある。後腹膜腔内の臓器以外の組織から発生した腫瘍を後腹膜腫瘍と総称する。

    後腹膜腔には様々な組織が含まれるため,発生する腫瘍の組織型も多岐にわたる。

    悪性腫瘍としては,軟部組織肉腫(脂肪肉腫,平滑筋肉腫,線維肉腫など)が代表的であるが,悪性リンパ腫,胚細胞腫瘍なども認められる。

    良性腫瘍として神経原性腫瘍(神経鞘腫,神経節細胞腫,傍神経節細胞腫),脂肪腫などがあるが,一部の神経原性腫瘍では再発をきたすことがある。

    鑑別診断を要するほかの良性病変として,キャッスルマン病や後腹膜線維化症がある。

    各種画像検査により鑑別診断が行われるが,腫瘍の組織型により選択される治療法が異なるため,確定診断のために生検が検討されることもある。

    ■代表的症状・検査所見

    【症状】

    初期および腫瘍が大きくない場合には無症状のことが多く,診断時には既に腫瘍が増大していることが多い。

    腫瘍が増大してきた場合には,腹部腫瘤として触知されることがある。

    周囲臓器を圧排するほど腫瘍が増大した場合には,圧排される臓器により,腹痛,嘔吐,便秘,排尿障害などの様々な症状が現れる。

    悪性リンパ腫では,発熱,盗汗,体重減少などリンパ腫関連の腫瘍随伴症状が認められることがある。

    胚細胞腫瘍では,後腹膜原発の性腺外胚細胞腫瘍に加えて,精巣腫瘍の後腹膜転移として認められることがある。

    【検査所見】

    後腹膜腫瘍の局在,質的診断としてCTが最も有用であり,必須の検査である。また悪性腫瘍の場合の転移検索として胸部CTも用いられる。

    MRIもCT同様に腫瘍の進展や周囲臓器との関係をみるのに有用である。

    悪性リンパ腫の鑑別に,発熱,盗汗,体重減少など全身症状の有無の病歴聴取は有用である。

    特に若年男性では,精巣腫瘍からの後腹膜転移の鑑別のため,精巣の診察(触診,超音波検査)が必要である。

    血液生化学,腫瘍マーカー検査は,悪性リンパ腫や胚細胞腫瘍の鑑別に有用であり,悪性リンパ腫では乳酸脱水素酵素(LDH),胚細胞腫瘍ではLDH,α-フェトプロテイン(AFP),ヒト絨毛性ゴナドトロピン(HCG)の上昇を認めることが多い。

    画像検査にて確定診断に至らない場合には生検を考慮する。

    化学療法が行われる悪性リンパ腫,胚細胞腫瘍が疑われる場合には,生検は有用であると考えられる。

    軟部組織肉腫が疑われる場合には,腫瘍播種の懸念から生検が回避されることが多いと思われるが,後腹膜肉腫においても経皮的針生検は局所再発率や生存率に影響しないとの報告もある1)

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