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帯状疱疹

登録日:
2017-03-16
最終更新日:
2017-07-21
浅田秀夫 (奈良県立医科大学皮膚科学教室教授)
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  • ■疾患メモ

    帯状疱疹は,水痘罹患後に神経節に潜伏感染していた水痘・帯状疱疹ウイルス(VZV)が,再活性化して生じる疾患である。

    神経痛様の疼痛が先行し,ついで多数の小水疱を伴った浮腫性紅斑が片側性に知覚神経分布に一致して出現する。

    免疫能低下例では重症化,汎発化が起こりやすい。3カ月以上にわたり頑固な疼痛が持続する帯状疱疹後神経痛(PHN)が残ることがあり,高齢者に多くみられる。年間の罹患率は1000人当たり5人程度とされているが,加齢とともに増加がみられる。

    ■代表的症状・検査所見

    【症状】

    皮疹が出現する数日前から神経痛様の疼痛が先行することが多い。その後,疼痛部位に浮腫性紅斑が出現し,その中に小水疱が形成され,水疱は急速に多発,集簇してくる。中央に凹み(中心臍窩)を有する水疱をしばしば認める。皮疹は知覚神経分布に一致して,片側性,帯状に配列する(図1)。膿疱化,びらん形成の後,痂皮化して約3週間で治癒する。

    14_37_帯状疱疹


    免疫能が低下している患者では,神経分布に一致した皮疹に加え,水痘様の散布疹がみられることがある(汎発性帯状疱疹)。

    三叉神経領域の帯状疱疹では,眼合併症や,顔面神経麻痺・難聴・めまい(Hunt症候群)を伴うことがある。

    疼痛は皮疹の治癒に伴い軽快してくることが多いが,高齢者や重症例では長期間残ることがある(PHN)。PHNの疼痛は,電気が走るような,焼けつくような痛みとして表現されることが多く,知覚過敏,知覚鈍麻,衣類のこすれや冷風刺激などで引き起こされる痛み(アロディニア)をしばしば伴う。

    【検査所見】

    神経支配領域に一致した片側性の皮疹の分布,小水疱の集簇,疼痛などの特徴的な臨床症状から,診断は一般に容易である。時に単純ヘルペス,丹毒,接触皮膚炎などとの鑑別を要し,Tzanck試験,ウイルス抗原検出などを行う。

    Tzanck試験:水疱内の細胞をスライドガラスに塗抹し,ギムザ染色にてウイルス性多核巨細胞の有無を調べる方法である(図2)。日常診療で頻用されるが,単純ヘルペスとの鑑別はできない。

    14_37_帯状疱疹


    蛍光抗体法によるウイルス抗原の検出:VZV特異的な蛍光標識モノクローナル抗体を用い,塗抹細胞を染色して判定する。単純ヘルペスとの鑑別を要する場合に有用である。

    血清学的診断:急性期と回復期のペア血清によるVZV特異的IgG抗体の上昇を確認することもあるが,結果が判明するまでに時間を要するため有用性は低い。

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