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乾癬

登録日:
2017-03-16
最終更新日:
2017-07-21
佐野栄紀 (高知大学医学部皮膚科学講座教授)
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  • ■疾患メモ

    乾癬は,炎症,毛細血管拡張とともに表皮細胞の過増殖と分化異常を特徴とする代表的な炎症性角化症である。

    被髪頭部を含む全身どこにでも生じ,分厚い鱗屑を付着する紅斑が特徴的である。

    日本で約40万人の患者がおり(罹患率0.2~0.3%),男女比が2:1で,多くは思春期以降に発症する。

    多遺伝子・多因子性の複合的要因のもと,表皮と免疫担当細胞の病的クロストークが病態を形成すると考えられている。

    ■代表的症状・検査所見

    【症状】

    乾癬は臨床的に以下の5型に分類される。

    ①尋常性:局面を形成する。およそ8割以上がこの病型。

    ②関節症性:血清リウマチ因子陰性の関節炎を合併する。手指,足趾など末梢型関節炎および,指炎,付着部炎,強直性脊椎炎様の体軸型関節炎などだが,主に皮疹が先行する。

    ③膿疱性:乾癬局面の上に無菌性膿疱が生じる。汎発性膿疱性乾癬では尋常性乾癬の前駆がなく,熱発や好中球増多などの全身症状を伴って広範囲に膿疱が拡大する。

    ④滴状:比較的若年に多く,大豆大までの丘疹,紅斑が散発する型。β溶連菌による扁桃炎が病巣となることもある。

    ⑤紅皮症型:乾癬局面が体表の9割以上に拡大した状態。

    【検査所見】

    典型例では視診のみで臨床診断が可能であるが,生検によって病理組織を確認するのが望ましい。

    錯角化を伴う過角化,表皮延長,真皮の毛細血管拡張,増殖および炎症細胞浸潤,表皮角層への好中球浸潤(マンローの微小膿瘍),膿疱性乾癬においては表皮にコゴイ海綿状態を伴う好中球性膿瘍を認める。

    関節症は単純X線,MRI,超音波検査などで評価する。

    重症例ではCRP,血清アミロイドAが高値を示す。ぶどう膜炎も稀に合併するため,必要に応じ眼科的検査も必要。

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