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重症薬疹

登録日:
2017-03-16
最終更新日:
2017-03-28
藤山幹子 (愛媛大学医学部皮膚科学教室准教授)
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  • ■疾患メモ

    重症の経過をとる薬疹で,原因薬剤の中止のみでは軽快せず,生命予後にかかわり,また後遺症を残す可能性がある。

    Stevens-Johnson症候群,中毒性表皮壊死症(toxic epidermal necrolysis:TEN),薬剤性過敏症症候群(drug induced hypersensitivity syndrome:DIHS)が代表的疾患である。

    ■代表的症状・検査所見

    【症状】

    原因医薬品の摂取後,高熱と発疹を生じる。

    Stevens-Johnson症候群では,眼,口唇から口腔,外陰部などの粘膜皮膚移行部に重度で広範囲のびらんや潰瘍を形成する。皮膚の水疱,びらん形成は,体表面積の10%未満にみられる。

    中毒性表皮壊死症では,体表面積の10%以上の皮膚にびらんや水疱形成による表皮剥離を認める。Stevens-Johnson症候群から皮膚障害が拡大して進展してきた場合には,粘膜障害も伴う。

    薬剤性過敏症症候群は,抗痙攣薬,アロプリノール,サラゾスルファピリジンなどの薬剤を2週~2カ月投与後に発症する。全身の紅斑に加え,リンパ節腫脹,臓器障害を伴い,治療を行っても症状の再燃を繰り返し,経過が長引くことがある。

    【検査所見】

    皮膚生検により,Stevens-Johnson症候群と中毒性表皮壊死症では表皮の変性壊死が確認される。血液検査では,血球減少や肝障害がみられることがある。

    薬剤性過敏症症候群では,血液異常(白血球増多,異型リンパ球の出現,好酸球増多),肝腎機能障害がみられる。ヒトヘルペスウイルス6(HHV-6)の再活性化により,抗HHV-6 IgG抗体価の上昇がみられる。

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