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回虫症

登録日:
2017-03-16
最終更新日:
2017-06-19
熊谷正広 (東京検疫所東京空港検疫所支所検疫衛生課課長)
濱田篤郎 (東京医科大学病院渡航者医療センター教授)
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  • ■疾患メモ

    世界中で推定10億人が回虫に感染している1)。特に,熱帯,亜熱帯の農村部に感染者が多い。

    かつては,日本でも蔓延しており,これには人糞を肥料とする農業形態が深く関与していた。1920年前後の調査によると,国民の約70%が回虫に感染していた2)が,定期的な検査と集団駆虫,適切な屎尿処理,衛生教育,化学肥料の普及,衛生環境の改善により,寄生率は激減し,国内ではほとんどみられなくなった(1995年の統計で0.02%)2)

    少数寄生では,多くは無症状である。虫体が肛門から排出されたり,口から吐出されたりして,回虫に感染していたことに気づくことがある。また,上部消化管造影検査,内視鏡検査,腹部超音波検査などで偶然発見されることがある。

    海外旅行者の増大や,人糞を用いた有機農業の復活による感染者の増加,また,輸入食品からの感染の可能性が懸念されている。

    ■代表的症状・検査所見

    【症状】

    ①幼虫による症状:繰り返し感染すると,幼虫の肺移行期にレフラー症候群(咳,発熱,呼吸困難,X線上の肺浸潤像,末梢血好酸球増多)が起こる。②成虫による症状:少数寄生では一般に無症状。腹痛,下痢,食欲減退(または亢進),異食症などの様々な症状がみられることがある。

    多数寄生では,栄養障害や発育障害も起こる。多数の成虫が絡み合ってイレウスを起こすことがある。

    小孔に頭部を挿入する性質があるため,胆管,膵管,虫垂などに迷入して激しい症状(腹痛,黄疸,発熱,膵炎,虫垂炎,肝膿瘍)を起こすことがある。

    【検査所見】

    幼虫の肺移行期に,前述のように,X線上の肺浸潤像,末梢血好酸球増多がみられることがある。

    成虫の寄生では,血液検査などで回虫に特有の検査所見はない。抗回虫抗体が産生されるが,抗体検査は実施できる施設も限られ,臨床的な意義も少ないので,一般的には行われない。

    回虫の成虫寄生の検査は検便(虫卵検査)である。雌成虫は多数(1日に約20万個)の虫卵を産むので,便の薄層塗抹標本を鏡検し虫卵を検出する(集卵法を用いる必要はない)。

    雌雄両方の成虫が寄生した場合は受精卵(と不受精卵)が,雌のみの寄生では不受精卵がみられる。雄のみの寄生では虫卵はない。

    前述のように,上部消化管造影検査や内視鏡検査などで発見されることがある。

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