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トキソプラズマ症

登録日:
2017-03-16
最終更新日:
2017-03-28
宮平 靖 (防衛医科大学校国際感染症学講座教授)
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  • ■疾患メモ

    主として熱処理不十分な食肉摂取により感染が成立する。

    先天性感染と後天性感染があり,後者には特殊な病態として眼トキソプラズマ症やHIV/AIDS患者など免疫不全状態における脳炎がある。

    病態により推奨される処方薬,処方量が異なる。

    国内未承認薬の処方が必要な場合があり,厚生労働省研究班へ入手を依頼する。

    ■代表的症状・検査所見

    【症状】

    トキソプラズマ症は人獣共通感染症であり,ネコを終宿主,ヒトを含む哺乳類,鳥類を中間宿主とする。

    後天性感染は,主として熱処理不十分な食肉の摂取により引き起こされ,そのほか,臓器移植,輸血,実験室内感染例も知られている。ネコ糞便は注意を要するが,感染事例は多くはないと言われる。

    健常者では無症状,または軽微な症状で収束するが,ごく一部が伝染性単核球症様症状(発熱,倦怠感,リンパ節腫脹,肝酵素の上昇など)を示し,稀に重症播種型と呼ばれる病態を起こすことがある。急性感染の診断は,IgG抗体とIgM抗体測定結果により行い,ペア血清で評価する。

    HIV感染症以外で免疫不全状態にある患者が,網脈絡膜炎,肺炎,ARDSやショックを伴う多臓器障害を示すこともある。

    先天性感染では,妊婦初感染時に経胎盤的に胎児へトキソプラズマ原虫が移行し,妊娠初期の感染時には重篤な症状が顕現する。

    【検査所見】

    眼トキソプラズマ症は,初感染,先天性,再燃のいずれの病型にも出現することがあり,視力障害,眼痛,羞明などの症状を呈し,網膜の白斑や硝子体の炎症所見がみられる。この場合,硝子体液や前房水から原虫遺伝子が検出されれば診断に有用である。

    HIV感染などの免疫不全状態時には,特に神経系組織に形成された嚢子内原虫が再増殖し,脳炎が引き起こされる。トキソプラズマIgG抗体陽性HIV感染者で予防投与を受けていない場合,トキソプラズマ症が再燃する確率が高い。抗HIV薬物療法開始後の急速なCD4陽性T細胞数の回復時に免疫再構築症候群として発症する事例報告もある。トキソプラズマ脳炎では髄膜刺激症状は稀で,脳内に単発あるいは多発性膿瘍を形成する。頭部造影CT・MRI検査では,周囲に浮腫を伴う腫瘤として病変が認められ,内部には低吸収域でリング状あるいは不整形に造影効果をもつ壁を有する。診断は髄液からの原虫遺伝子の検出により行うが,偽陰性の割合が高く,陰性の場合でも感染を否定することはできない。

    先天性感染では,水頭症,網脈絡膜炎,脳内石灰化の古典的三徴が知られているが,精神運動障害,リンパ節腫脹,肝機能障害,黄疸,貧血,血小板減少など多彩な所見が観察される。症状は新生児期における病態に限られず,小児期以降に顕在化することもある。出生前診断は,羊水から原虫遺伝子をPCR法で証明する。

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