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破傷風

登録日:
2017-03-16
最終更新日:
2017-03-28
金光敬二 (福島県立医科大学感染制御学教授)
仲村 究 (福島県立医科大学感染制御学)
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  • ■疾患メモ

    破傷風の症状は,破傷風菌(Clostridium tetani)が産生する破傷風毒素(テタノスパスミン)による筋痙縮が主体である。診断した場合は,7日以内に保健所へ届け出る(5類感染症全数把握疾患)。

    わが国での破傷風の報告は2011年,12年,13年でそれぞれ118,118,128人であった1)

    破傷風菌は,偏性嫌気性の芽胞を形成するグラム陽性桿菌である。芽胞は,土壌,塵埃中などに存在する。受傷機転により芽胞が体内に侵入すると栄養型菌となり,テタノスパスミンを産生する。テタノスパスミンは神経毒であり,呼吸筋などを麻痺させる。

    ■代表的症状・検査所見

    【症状】

    刺創,裂創,挫創,転倒,熱傷などで受傷後,3日~3週(平均7日)の潜伏期を経て,全身の違和感や開口障害で発症する。しかし,創傷部位が不明の症例も少なくない。一般に発熱はない。

    強直性痙攣がみられないような軽症例もあるが,多くは表1のように進展する2)。開口障害が出現してから強直性痙攣に至る時間をonset timeと呼び,48時間以内の者は予後が悪い。

    12_42_破傷風

    【検査所見】

    血液検査で破傷風の診断はできない。

    創部,切除組織の嫌気培養により,グラム陽性桿菌(棍棒状,太鼓バチ状)を認める。

    合併症がなければ白血球数正常~軽度上昇,CRP軽度上昇。

    血清トランスアミナーゼ正常~軽度上昇,CK上昇。

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    コチラより

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