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原発性アルドステロン症

登録日:
2017-03-16
最終更新日:
2017-06-19
大村昌夫 (横浜労災病院内分泌・糖尿病センターセンター長,糖尿病内科部長)
斎藤 淳 (横浜労災病院内分泌・糖尿病センター内分泌内科部長,代謝内科部長)
西川哲男 (横浜労災病院内分泌・糖尿病センター名誉院長,内科部長)
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  • ■疾患メモ

    副腎からの自律的アルドステロン過剰産生により高血圧や各種臓器障害を合併する疾患である。

    高血圧の原因の5~20%と報告されている。

    片側副腎に生じるアルドステロン産生腺腫(aldosterone producing adenoma:APA)と,両側副腎の過形成病変である特発性アルドステロン症(idiopathic hyperaldosteronism:IHA)が主な原因とされてきたが,片側副腎過形成病変(unilateral multiple micronodules:UMN)や両側副腎APAも少なくないことが判明している。

    APAやUMNは,患側副腎の外科手術を行うことで,原発性アルドステロン症(primary aldosteronism:PA)のみならず,高血圧も治癒する特異な高血圧である。

    近年,約70%のAPAの腺腫細胞内にKCNJ5などの遺伝子異常の生じていることが明らかとなっている。

    ■代表的症状・検査所見

    【症状】

    高血圧のみが代表的症状であり,PAに特異的な症状とされてきた低カリウム血症,多尿,高血圧家族歴のない若年性高血圧,治療抵抗性高血圧を示す症例は多くない。

    高血圧発症5年以降に脳卒中,冠動脈疾患,腎機能障害の合併頻度が増加するため,早期発見・治療が重要である。

    【検査所見】

    高アルドステロン血症と低レニン血症であり,アルドステロン>120pg/mL,かつアルドステロン/レニン活性比(ng/mL/h)>200でスクリーニングを行う。

    低カリウム血症を伴う症例は少ないが,PAを疑う重要な所見である。

    APAは通常径10mm以下と小さい。手術の適応がなくAPAより径の大きい非機能性腺腫を合併することも少なくないため,手術適応は副腎静脈採血で判定する。

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