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発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)

登録日:
2017-03-16
最終更新日:
2017-03-28
西村純一 (大阪大学大学院医学系研究科血液・腫瘍内科学講師)
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  • ■疾患メモ

    発作性夜間ヘモグロビン尿症(paroxysmal nocturnal hemoglobinuria:PNH)は,後天性の造血幹細胞のクローン性疾患である。

    造血幹細胞のphosphatidylinositol glycan class-A(PIG-A)遺伝子に変異が起こりクローン性に拡大した結果,成熟血球膜上のglycosyl phosphatidylinositol(GPI)アンカー型蛋白である補体制御因子CD55やCD59が欠落する(PNH型血球)。その結果,補体の活性化に伴い,血管内溶血による貧血,ヘモグロビン尿を呈する。

    再生不良性貧血(aplastic anemia:AA)を代表とする造血不全疾患としばしば合併・相互移行する。

    血栓症は本邦例では稀であるが,PNHに特徴的な合併症である。

    PNH溶血に対する治療薬として,ヒト化抗C5モノクローナル抗体であるエクリズマブが開発された。

    ■代表的症状・検査所見

    【症状】

    補体介在性の血管内溶血とそれに伴うヘモグロビン尿,血栓症,骨髄不全が3大症状であるが,それぞれの症状の程度とそのバランスは症例ごとに様々である。

    【検査所見】

    確定診断のための溶血所見としては,血清LDH値上昇,網赤血球増加,間接ビリルビン値上昇,血清ハプトグロビン値低下が参考になる。PNH型赤血球(Ⅲ型)を1%以上検出し,血清LDH値が正常上限の1.5倍以上あれば,臨床的PNHと診断できる。PNH型血球の検出と定量には,抗CD55および抗CD59モノクローナル抗体,またはfluorescent-labeled inactive toxin aerolysin(FLAER)を用いたフローサイトメトリー法が推奨される。

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