株式会社日本医事新報社 株式会社日本医事新報社

診診連携

登録日:
2017-03-16
最終更新日:
2017-07-26
馬本郁男 (馬本医院院長)
森本英夫 (森本医院院長)
斉ノ内良平 (さいのうち医院院長)
梅山 信 (梅山医院院長)
横林文子 (よこばやし医院院長)
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  • ■考え方

    1人開業の在宅療養支援診療所の場合,86%が医師1人で24時間・365日の対応をしているため,1人往診医の疲弊が大きく,在宅医療提供の妨げとなっている。

    地域医師会の中で"開業医は患者を取り合う競争相手"という考え方を払拭し,"地域でともに患者をみる力強い仲間"という関係性を築くことが望まれる。

    2006年4月,在宅支援診療所制度開始とともに,筆者らは『チームドクターファイブ(TDR5)』という診診連携チームを発足した。我々の京都府乙訓地域においては半径5km以内でほとんどの往診が可能であり連携が組みやすい。また,24時間体制の維持にあたっては在宅当番医表を作成するなどの工夫をして,連携患者情報を交換・確認している。さらに,2012年4月からは機能強化型在宅療養支援診療所としての要件を満たし,連携を続けている1)

    以下,TDR5の取り組みが診診連携のひな形として他地域にも広がっていくことを期待して,筆者らの活動・経験を述べる。なお,この診診連携にあたっては地域連携・多職種協働が不可欠であり,§2-50 地域連携・多職種協働」も参照されたい。

    ■制度面の知識

    【チーム医療】

    〈定義〉

    2009年8月,チーム医療の推進に関する検討会(厚生労働省)にてチーム医療の定義が議論され,2010年3月に,チーム医療とは"医療に従事する多種多様な医療スタッフが,各々の高い専門性を前提に,目的と情報を共有し,業務を分担しつつも互いに連携・補完し合い,患者の状況に的確に対応した医療を提供すること"と取りまとめられた。

    〈課題〉

    2010年5月のチーム医療推進会議では,チーム医療推進方策検討ワーキンググループにより,病院内および在宅医療(在宅緩和ケア)におけるチーム医療の課題が報告された。ここでは,チーム医療における,①迅速性(即効性),②統合性(統一性),③効率性,が挙げられた。

    2012年4月からは,機能強化型在宅療養支援診療所・在宅療養支援病院制度が施行され,在宅かかりつけ医,訪問看護師,ホームヘルパー,ケアマネジャーなどとの多職種協働による24時間在宅医療の体制が整えられてきた。しかし,翌年10月の報告によれば,他の医療機関等との連携により24時間体制の負担が軽減されたかとの問いに対し,約45~60%の医療機関が効果を十分に感じていないと回答している(第252回中央社会保険医療協議会,H24検証部会調査)。

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