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眼の充血

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  • ■緊急時の処置

    疼痛の有無,視力・視野障害の有無がポイントであり,これらがなければ緊急の処置は要さない。

    ■落とし穴・禁忌事項

    流行性角結膜炎はアデノウイルスによる結膜炎で,感染力が非常に強い。院内感染を起こさないよう注意が必要である。診察時は手袋を使用し,患者が触れたと思われる部位はアルコール消毒を行う。

    コンタクトレンズ装用者の充血は角膜上皮障害の可能性があるので,コンタクトレンズ装用の中止を指示する。なお原則として,ソフトコンタクレンズを装用しながらの点眼治療は不可である。

    ■その後の対応

    【軽度】

    感染性結膜炎の場合,抗菌薬点眼と消炎薬点眼の2剤を用いることが多い。点眼回数は症状に応じて適宜増減してよい。

    一手目:クラビット®点眼液1.5%(レボフロキサシン)1日3回(点眼)

    二手目:〈一手目に追加〉フルメトロン®点眼液0.1%(フルオロメトロン)1日3回(点眼)

    【中等度】

    角膜上皮障害に起因する充血の場合,ヒアルロン酸の点眼液や疼痛軽減と感染症併発予防にて抗菌薬の眼軟膏を処方する。点眼回数は症状に応じて適宜増減してよい。

    一手目:ヒアレイン®点眼液0.1%(ヒアルロン酸)1日3回(点眼)

    二手目:〈一手目に追加〉タリビッド®眼軟膏0.3%(オフロキサシン)1回適量1日3回(塗布)

    【重度】

    眼深部痛と視力障害や瞳孔散大を伴う充血は急性緑内障発作の可能性が高く,不可逆的な視神経障害をきたす恐れがあるため,瞳孔ブロックを解除し,速やかに眼圧を下げる必要がある。副交感神経刺激薬であるサンピロ®,高張浸透圧薬であるマンニットール®を用いる。

    一手目:サンピロ®点眼液2~4%(ピロカルピン)(15分ごと頻回点眼)

    二手目:〈一手目に追加〉マンニットール®S注射薬(マンニトール/ソルビトール)1回500mL(45~60分で点滴静注)

    ■文献・参考資料

    【参考】

    ▶ 臼井正彦, 編:眼科診療プラクティス15 眼科救急ガイドブック. 文光堂, 1995.

    ▶ 堀 進悟, 他, 編:救急レジデントマニュアル. 第5版. 相川直樹, 監. 医学書院, 2013.

    【執筆者】 出田真二(出田眼科病院)

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