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痙攣

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  • ■緊急時の処置

    痙攣が持続している場合は,迅速な治療を要する。

    まずは気道を確保し,酸素投与を行う。点滴ルートを2箇所に確保する。可能な限りルート確保時に採血をする。

    心電図,SpO2モニターを装着する。

    なお,痙攣時には四肢の動きが激しく血管確保やモニター装着が困難となるため,体を押さえる人数を集める。

    フェニトインはブドウ糖と混注することにより混濁するため,生理食塩水で単独の静脈路を使用する。

    ビタミンB1欠乏や低血糖が疑われる患者では,チアミン100mgと50%ブドウ糖40mLの静注を行う。

    一手目:セルシン®注射液(ジアゼパム)1回5~10mg(静注,3分ごと,計20mgまで反復可)

    二手目:〈一手目に追加〉ホストイン®静注(ホスフェニトイン)1回22.5mg/kg(点滴静注),またはアレビアチン®注(フェニトイン)1回250mg(点滴静注,状況により総量15~20mg/kgまで緩徐に使用)

    三手目:〈二手目に追加〉ノーベルバール®静注用250mg(フェノバルビタール)1回15~20mg/kg(点滴静注)

    ■検査および鑑別診断のポイント

    【画像】

    頭部CT:初回痙攣,神経学的異常所見,意識障害,65歳以上,15分以上持続した痙攣,担癌患者,頭部外傷歴のある患者では頭部CTを行う。

    【生化学】

    血算検査,血糖検査,肝機能,腎機能,電解質を含む生化学検査に加え,血液ガス,薬物スクリーニング,妊娠可能年齢の女性では妊娠反応検査を行う。

    ■落とし穴・禁忌事項

    てんかんに伴う症状なのか,その他の代謝異常,中枢神経異常,外傷,薬剤等の他の原因を有するかの評価を行う。

    発作時に転倒し外傷を負っていることがあるため,全身の観察を忘れない。頭部外傷は頻度が高い。肩関節の後方脱臼は稀だが,あれば痙攣を疑う。上腕骨,胸椎,大腿骨の骨折が合併しやすい。

    ■その後の対応

    痙攣再発の予測は困難であり,特に基礎疾患を有する患者や高齢者では入院を考慮する。

    脳波検査を行い,抗痙攣薬の投与については神経科医の診察を受ける。

    ■文献・参考資料

    【参考】

    ▶ Brophy GM, et al:Guidelines for the Evaluation and Management of Status Epilepticus. Springer, 2012.

        [https://www.ccm.pitt.edu/sites/default/files/ebm/guidelines_for_se_ncc_2012.pdf]

    ▶ 日本蘇生協議会, 監:JRC蘇生ガイドライン. 医学書院, 2015.

    【執筆者】 田中 拓(川崎市立多摩病院救急災害医療センター副センター長)

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