無料立ち読み フルカラーでやさしくわかる! テーピングの基本 2章:各論 ⑤股関節・大腿のテーピング 1 股関節インピンジメント
無料立ち読み フルカラーでやさしくわかる! テーピングの基本 2章:各論 ⑤股関節・大腿のテーピング 1 股関節インピンジメント
はじめに
股関節は球関節であり,大腿骨頭と寛骨の臼蓋からなる。大腿骨頭と臼蓋の表面はなめらかで,軟らかい関節軟骨に覆われ,臼蓋の辺縁には密閉容器でいうところのパッキンの役割を果たす関節唇が存在する。
股関節インピンジメント(femoroacetabular impingement;FAI)になると,大腿骨頭から大腿骨頚部にかけて,また臼蓋の辺縁に骨棘が生じる。これらの骨棘によって股関節の適合性,安定性が悪くなり,このために大腿骨頭と臼蓋の間に運動時の摩擦や衝突が生じ,時間経過とともに関節唇損傷や関節軟骨の損傷が生じてしまう。
サッカー,ホッケー,アメリカンフットボール,バスケットボール,野球など股関節に屈曲や内旋を生じるスポーツに多い。
▶ 股関節インピンジメントの分類
股関節インピンジメントには3つのtypeがある(図1)。
─ Cam type
大腿骨頭から大腿骨頚部にかけて骨形態に異常があり,同部が異常に突出する(Cam病変)もので,臼蓋の関節軟骨とこのCam病変が擦れることで関節軟骨損傷を生じるインピンジメント。
─ Pincer type
正常の臼蓋縁を越えて骨棘が形成される(Pincer病変)ことで,関節唇が臼蓋と大腿骨頚部の間ではさまれ損傷されるタイプのインピンジメント。
─ Mixed type
Cam typeとPincer typeが混在するインピンジメント。
症状
股関節インピンジメントで最もみられるのは下記の症状である。
•屈曲,内転,内旋などの股関節の動作で疼痛
•股関節の可動域制限
•跛行
•違和感程度で強い疼痛を認めない場合も多い
発生原因
•成長期に股関節の骨形成が正常に進まないために発生するという説と,骨形成完了後に不良動作を反復することで骨増殖が起きるとする説がある
•Cam病変やPincer病変,もしくは両方が形成されると,関節の破壊や疼痛が生じる
•Cam病変やPincer病変の程度が強くなると股関節インピンジメントの症状発生予防が困難になるとされるが,一方で骨形態異常を有しながらも無症状の患者が多く,症状が出る直接的な原因については明らかではない
•しゃがみこみ動作
•股関節を強くひねる動作(特に内旋)の反復
テーピングの目的
疼痛が出やすい動作(股関節屈曲,内転,内旋)を制限し,症状を軽減させることを目的とする。
効用
股関節の屈曲,内転,内旋制限。
ターゲット
・股関節
股関節インピンジメントに対するテーピング
スタート姿勢 立位
テーピングの方法 step by step
〈使用するテープ〉
•バンテージ 75~150mm幅
テーピングのコツpearlsと注意点pitfalls
•股関節周囲の特定の筋や関節の機能低下が評価されている場合は,それに対応したテーピング法を用いることもできる。ここでは股関節屈曲,内転,内旋動作で疼痛が生じやすい場合にその動作を制限する方法を紹介している。
•体格に応じてバンテージの幅を選択する(写真は150mm幅)。
•バンテージはスパッツなどウェアの上から巻いてもよいが,素材によりずれやすいため,しっかりとテープでとめる。
•大腿部は筋に力を入れさせた状態で巻き,過度の圧迫を防ぐ。
•Step23の交差点が低い位置に来るほど,屈曲制限が強まる。
吉田早織,大内 洋
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