(質問者:静岡県 M)
体内の総K量3000~4000mEqのほとんどは細胞内に存在し,細胞外Kはわずか2%とされています。細胞内Kはインスリンやカテコールアミン,酸塩基平衡や循環血漿量によりNa+- K+ ATPaseを通じて調節されていますが,Kの摂取量や排泄量によって規定される総K量の変化は,細胞内よりも細胞外のほうがより大きな影響を受けています。
総K量が200~400mEq失われると血清Kは4.0mEq/Lから3.0mEq/Lに低下し,さらに同程度のKの喪失により2.0mEq/Lまで低下します。しかし,それ以上の低K状態をきたすことは稀で,細胞内Kがバッファーとして働き,細胞外K濃度の低下を防いでいます。また酸塩基平衡の異常やインスリン作用不全などの病的状態においては,全身の恒常性を保つために,細胞内外のK量が変化して対応します。
Kの摂取不足が続くと,腎臓において,主に集合管のK分泌が抑制され,尿中K排泄は1日15~25mEq以下となり,血清Kを維持するように働きます。
低K血症は一般的には血清K値3.0mEq/Lまでは自覚症状をきたさず,特に慢性的で緩徐な経過においては自覚症状が乏しいことが多いとされます。一方,血清K値が急激に低下する際や,低Kによる薬物有害事象をきたしやすい薬剤(ジギタリスなど)の投与時は,血清K値が3.0mEq/L以上でも,自覚症状をきたす可能性はあります。
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