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甲状腺癌への分子標的薬の適応と外科手術【分子標的薬の登場によっても外科手術による局所制御の重要性は変わらず。リスク評価に基づく適切な初期治療がいっそう重要に】

No.4910 (2018年06月02日発行) P.50

長岡竜太 (日本医科大学内分泌外科)

登録日: 2018-06-02

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甲状腺癌を適応とする分子標的薬(TKI)が登場し,現在,①ソラフェニブ(ネクサバール®,甲状腺癌),②レンバチニブ(レンビマ®,未分化癌を含む甲状腺癌),③バンデタニブ(カプレルサ®,甲状腺髄様癌)が保険収載されている。

いずれも根治切除不能であることが適応条件となっており,甲状腺癌に対する第一選択の治療法が外科的根治切除であることに変わりはない。また,分化癌(乳頭癌,濾胞癌,低分化癌)に対しては放射性ヨウ素(RAI)不応であることがTKI使用の前提となる。高リスク分化癌には早い段階で確実に甲状腺全摘・RAI治療が行われることが求められており,これらの標準治療に抵抗性でかつ進行が明らかな症例に対してのみ,TKIが考慮される。

TKIの効果は無増悪生存期間の延長であり,完全寛解(CR)が得られることは通常ない。局所進行性の分化癌(気管・喉頭,食道・咽頭浸潤や縦隔・咽頭後リンパ節転移など)に対しては従来通り,年齢やQOL,遠隔転移の状況を考慮した上での手術による局所制御が大原則となる。TKIには術前・術後補助療法としての適応はない。

血管新生阻害作用のあるTKIには重大な副作用として創傷治癒遅延があり,通常,手術後は2週間,針生検でも1週間の待機が望ましいとされる。また,頸動脈などからの生命に関わる大出血が報告されており,皮膚瘻孔・潰瘍,気管・食道瘻孔,頸動脈露出のある症例などはリスクが高い。組織型別では特に未分化癌での出血事例が多い。

【解説】

長岡竜太 日本医科大学内分泌外科

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