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5-ALAを用いた術中蛍光診断法による副甲状腺同定

No.4929 (2018年10月13日発行) P.54

岡村律子 (日本医科大学内分泌外科病院講師)

登録日: 2018-10-13

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【副甲状腺機能亢進症における過機能副甲状腺や正常副甲状腺の術中同定に有用】

5-アミノレブリン酸(5-ALA)は,脳神経外科領域の悪性グリオーマ手術における術中蛍光診断として使用されている薬剤である。内分泌外科領域では,ラットの副甲状腺の蛍光診断が可能なことが2001年に報告された1)。筆者らは,ヒトの原発性副甲状腺機能亢進症における過機能副甲状腺および正常副甲状腺の術中同定に有用であることを報告した2)3)

原発性副甲状腺機能亢進症の副甲状腺腫は異所性の場合も多く,術前の画像検査とともに術中局在診断が重要である。また,正常副甲状腺は体内で最も小さい臓器のひとつで,その同定と温存は,甲状腺手術において重要な術後合併症である副甲状腺機能低下症の回避につながる。

5-ALAは生体内に広く分布しており,細胞のミトコンドリア内でグリシンとスクシニルCoAから生合成される。5-ALAからヘムへの生合成の過程で光感受性物質のプロトポルフィリンⅨに代謝され蛍光を発するとされているが,詳細は不明な点が多い。

今後,5-ALAの蛍光発生機序や蛍光の定量化,蛍光強度と病理組織との関連の解明などによる診断精度の向上が期待される。

【文献】

1) Gahlen J, et al:Endocrinology. 2001;142(11): 5031-4.

2) Akasu H, et al:J Nippon Med Sch. 2006;73(5): 246-7.

3) Takeuchi S, et al:J Nippon Med Sch. 2014;81 (2):84-93.

【解説】

岡村律子 日本医科大学内分泌外科病院講師

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