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悪性胸膜中皮腫の外科的治療〔胸膜肺全摘術(EPP)と胸膜切除/肺剝皮術(P/D)〕の利点・欠点【EPPは呼吸・循環動態の変化が大きく,全胸腔照射が可能。P/D術後の気漏と肺炎,膿胸の併発に注意】

No.4908 (2018年05月19日発行) P.51

黒田鮎美 (兵庫医科大学呼吸器外科)

登録日: 2018-05-18

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悪性胸膜中皮腫に対する外科的治療として壁側胸膜と臓側胸膜,一側肺を切除する胸膜肺全摘術(extrapleural pneumonectomy:EPP)と,壁側胸膜と臓側胸膜を切除し肺を温存する胸膜切除/肺剝皮術(pleurectomy/decortication:P/D)がある。EPPは一側肺を切除するため呼吸・循環動態の変化が大きく,手術死亡率も高い(3~10%)が,術後,患側胸腔には肺がないため全胸腔照射が可能となる。一方,P/Dでは両肺を温存できるため循環動態は比較的安定し,周術期死亡率もEPPに比し低いが,臓側胸膜を剝皮するため術後の気漏が避けられず,肺炎や膿胸を併発することがある。また,術後も肺が存在するため全胸腔照射は行えない。

治療成績は,後ろ向き解析で両者の生存期間に差がなく,EPPは手術死亡率が高いのでP/Dのほうが優れるとする報告や,Ⅰ期ではEPPのほうが予後良好とする報告があり,結論に至っていない。ただし,低肺機能のためEPPは行えない患者がP/Dを選択できる場合や,腫瘍の肺実質浸潤のためにEPPによってのみ肉眼的完全切除を達成できる症例もあり,両者とも必要な術式と言える。

今後は,どのような患者にどちらの術式が即しているかの検討が必要である。

【参考】

▶ 日本呼吸器外科学会/呼吸器外科専門医合同委員会, 編:呼吸器外科テキスト. 南江堂, 2016.

【解説】

黒田鮎美 兵庫医科大学呼吸器外科

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