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女性医師支援の現状と課題─日本医師会女性医師支援センターの活動からみえること【OPINION】

No.4888 (2017年12月30日発行) P.18

猪狩和子 (日本医師会女性医師バンクアドバイザー医師 耳鼻咽喉科北川医院院長)

登録日: 2017-12-27

最終更新日: 2017-12-25

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  • はじめに

    我が国の女性医師数は年々増加しており、医師総数約32万人の21.1% に当たる約7万人(2016年)であるが(図1)、最近の医師国家試験合格者数では34.5%(17年)を占める(図2)。医学部入学者数では40%を超える大学があり、今後も増加が予想される。一方、女性医師の就業率は、35歳では男性の89.9%に対して76.0%と低く(図3)、結婚、出産等により離職せざるを得ない状況にある。

     



    女性医師がライフステージに応じて働ける柔軟な勤務形態の促進を図り、医師不足対策の一助となることを目的として、2006年11月、日本医師会が厚生労働省より「医師再就業支援事業」を受託し、07年1月、女性医師バンクが開設された。09年4月に「女性医師支援センター事業」と改められ、10年6月には女性医師支援委員会が発足し様々な活動を行ったが、16年10月に組織を改編し、専任のコーディネーターを置いて実績を上げている。

    現在、日本医師会女性医師支援センター(女性医師バンク)は日本医師会館内に事務局を置き、中央センター(東日本センター、西日本センター)ではコーディネーターとアドバイザー医師が、女性医師の勤務継続の支援に重点を置き、求職者の相談、助言をはじめ、以下の支援活動を行っている。

    (1)就業継続・復帰支援(再研修・相談を含む)
    (2)女性医師支援に関わる各種会議の開催
    ・医学生、研修医等をサポートするための会
    ・‌女性医師支援センター事業ブロック別会議および女性医師支援センター事業連絡協議会
    ・大学医学部・医学会女性医師支援担当者連絡会
    ・ 地域における女性医師支援活動の促進
    (3)医師会主催講習会等への託児所併設促進と補助
    (4)女性医師の就業等に係る実情把握調査の実施
    (5)女性医師支援シンポジウムの開催

    女性医師支援の現状

    女性医師が生涯を通して仕事を継続していくために必要な支援としては、①就業継続、再就業、再研修支援(相談を含む)、②育児支援、③勤務環境(整備)支援、④キャリア形成や研究支援、⑤介護支援─などが挙げられる。

    日本医師会女性医師バンクの特徴は、①医師会員・非会員を問わず利用できる、②求人・求職共に無料、③登録後専任コーディネーター、アドバイザー医師が相談・マッチングにあたる。

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