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(4)食道癌に対する手術療法と機能温存 [特集:食道癌の治療─機能温存に向けて]

No.4792 (2016年02月27日発行) P.38

猶本良夫 (川崎医科大学総合外科学教授/同大学附属川崎病院外科部長)

登録日: 2016-09-08

最終更新日: 2017-01-27

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  • 食道癌手術の課題:手術成績の向上とともに長期生存例における術後の逆流性食道炎,誤嚥性肺炎,体重減少などのQOLの低下が問題となってきた

    機能温存の実際:QOLの低下を解決する方法として,機能温存手術が挙げられる。食道癌治療において機能を温存するということは,外科手術においてはほぼ一義的に胃機能を温存することになる

    機能温存による効果:胃機能の温存によって,体重減少,逆流性食道炎は大きく改善することが示唆された

    1. 胸部食道癌における手術療法

    食道癌手術における機能温存に関しては,これまでに多くのデータの蓄積があるわけではない。このことは,胃を用いた再建術が比較的煩雑な手術手技を必要とするものでなく,挙上性も良好で広く行われて安定した手術成績を残してきたためである。しかしながら,手術成績の向上とともに長期生存例における術後の逆流性食道炎,誤嚥性肺炎,体重減少などのQOLの低下が問題となってきた。
    一般に,胸部食道癌に対する根治手術における再建は,胃管を用いることが標準である。吻合は,食道・胃管吻合の1箇所であり比較的安全な手術療法である。胃は右胃動脈,右胃大網動脈,さらに豊富な壁内血行を有し,挙上性に優れた再建臓器である。しかしながら,挙上された胃機能は,食物が通過するための臓器としての機能を果たすのみで,本来の貯留能,消化能,蠕動運動による排出能のいずれもが大きく障害される。一方,主に胃癌術後などの胃管再建不能症例においては,空腸,結腸を用いた再建術が行われていた。しかしながら,本手術における合併症率は低くなく,それに伴って手術死亡率も低くないものであった。
    手術における最も重篤な合併症は,血流不全による再建臓器の壊死である。近年,微小血管吻合技術の進歩により空腸,結腸の吻合部近傍の栄養血管をドナー血管と吻合することができるようになったため,空腸再建,結腸再建の安全性は革新的に改善した。このような技術革新が胃管以外の再建術,ひいては胃機能を温存した再建術につながっている,と言えよう。また,胸部食道癌においては,これまで様々な観点から食道癌手術後の逆流性食道炎などの不定愁訴,体重減少などのQOL低下と,高齢者を中心に胃内容物の逆流による誤嚥性肺炎などの深刻な合併症をきたすことも少なくないのが現状である。

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