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(3)Ⅰ 内臓悪性腫瘍の皮膚病変─2 腫瘍随伴皮膚病変 ②グルカゴノーマ症候群/壊死性遊走性紅斑[特集:皮膚病変でみる内科疾患]

No.4887 (2017年12月23日発行) P.30

山本紀美子 (石切生喜病院皮膚科部長)

鶴田大輔 (大阪市立大学大学院医学研究科皮膚病態学教授)

登録日: 2017-12-20

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  • グルカゴノーマ症候群は膵島α細胞グルカゴン分泌腫瘍,糖尿病,壊死性遊走性紅斑の3要素を特徴とし,様々な臨床症状を呈する症候群の総称である

    壊死性遊走性紅斑は臨床症状からの診断名である。グルカゴノーマ症候群の特徴的な皮膚症状であり,腫瘍の早期診断・治療につながる

    壊死性遊走性紅斑の臨床症状と病理所見は病期により多彩であり,紅斑を呈する様々な疾患との鑑別が必要である

    症 例

    76歳,女性。主訴:全身の瘙痒を伴う紅斑(図1・2)

     

    【家族歴】 特記事項なし
    【既往歴】 胃潰瘍,軽度耐糖能異常
    【薬剤歴】 ‌オメプラゾール(オメプラール),レバミピド(ムコスタ),セレコキシブ(セレコックス
    【現病歴】 ‌初診の3カ月ほど前より,両下腿中心に瘙痒を伴う紅斑が出現し,近医にて外用ステロイドとプレドニゾロン(以下PSL)10mg内服で加療されるも改善なく当科を受診。薬疹や水疱症を疑い,生検後PSL 30mgにて治療を開始するも皮疹の改善が得られず,病理組織にても確定診断に至らなかった。全身検索のため造影CTを施行したところ,膵尾部に腫瘍を認めた。外科にて腫瘍摘出術が施行され,その直後から皮疹は軽快傾向を示し,術後約2週間でほぼ消退した。腫瘍は病理組織学的検査でグルカゴノーマであったことが判明した。術前のグルカゴン値は400pg/mL以上(基準値:50~150pg/mL)であったが,術後1カ月後には53pg/mLと正常化した。しかし術後約2年で全身に紅斑が再燃し,全身検索にて多発性肝転移がみつかった。

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