株式会社日本医事新報社 株式会社日本医事新報社

CLOSE

局所進行食道癌に対する導入DCF療法後のconversion surgery【高度進行食道癌に対する新たな集学的治療アプローチ】

No.4886 (2017年12月16日発行) P.58

小熊潤也 (東海大学消化器外科准教授)

小澤壯治 (東海大学消化器外科教授)

登録日: 2017-12-17

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

局所進行食道癌で画像診断上,気管・気管支や大動脈など合併切除が不可能な隣接臓器への浸潤が否定できない症例に対し,まず導入療法を行い,局所の縮小が得られ,画像上切除可能と判断できればその後に根治手術を行う場合がある。しかし,導入療法として化学療法と化学放射線療法のどちらを行うべきかについてはこれまで一定の見解が得られていない。近年,進行食道癌に対してドセタキセル,シスプラチン,5-FU併用化学療法(DCF療法)が行われるようになり1),その局所制御能が他のレジメンに比べ高いことがわかってきた。

筆者らはこの点に着目し,遠隔転移のない高度進行食道癌に対して導入DCF療法を行ったところ,著明な縮小効果が得られ,その後conversion surgeryを施行し,R0切除が可能であった症例を経験するようになった。本治療は転移リンパ節よりも原発巣に有効で,従来行っていたシスプラチン,5-FU併用療法(CF療法)に比し縮小率は高い。一方で有害事象として高率に発熱性好中球減少症が発症するため,その予防を含めた適切な対応が必要である。導入療法として,局所制御能が高い化学療法を行い,その後のconversion surgeryが施行できれば,術後の遺残や局所再発に対して放射線治療を行うことができるという利点もある。しかし,導入化学療法としての各治療法の長期成績の比較や前向き臨床試験の報告はこれまでほとんどないため,今後さらなる検討が必要である。

【文献】

1) Watanabe M, et al:Ann Surg Oncol. 2014;21(9): 2838-44.

【解説】

小熊潤也*1,小澤壯治*2  *1東海大学消化器外科准教授 *2同教授

関連記事・論文

関連書籍

関連求人情報

もっと見る

関連物件情報

もっと見る

page top