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1滴の血液から13種のがんが診断できる検査とは?【マイクロRNAを一種のバイオマーカーとして活用し診断】

No.4884 (2017年12月02日発行) P.63

落谷孝広 (国立がん研究センター研究所分子細胞治療 研究分野分野長)

登録日: 2017-12-02

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  • 1滴の血液から13種のがんが診断できる検査の開発が進んでいると聞きました。どのような仕組みで検査し,また将来的にどのような施設で検査が行われる見込みか,ご教示を。また,費用はどの程度でしょうか。

    (岡山県 A)


    【回答】

    体液中を循環する核酸物質の存在は,実はDNAの2重螺旋構造の発見より以前,1948年にMandelとMétaisによって報告されていました。それから70年近く経た現在,我々人類はこの体液中の核酸の一種であるマイクロRNAをがん等の疾患を発見する新しいバイオマーカーとして開発しようとしています。

    そもそもこうした体液中のマイクロRNAなどの情報伝達物質は,エクソソームと呼ばれる直径100nmの細胞外分泌顆粒に運ばれて細胞間のコミュニケーションツールとして利用されていることが近年,次々と明らかになり,がん等の疾患はもちろん,高次脳機能や様々な生理的機能に重要な機能を果たしているという驚きの事実がわかってきました。こうした情報伝達の媒体であるエクソソームは血液中等を循環しています。体液中の分泌型マイクロRNAは,疾患の理解と診断の分野において,我々の想像をはるかに超えた様々な新知見をもたらしています。

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