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四肢軟部組織損傷の治療up to date【露出部に血管柄付き遊離組織移植が多く用いられるように。整容面も大きく向上】

No.4884 (2017年12月02日発行) P.57

田村亮介 (神戸大学形成外科)

野村 正 (神戸大学形成外科特命講師)

寺師浩人 (神戸大学形成外科教授)

登録日: 2017-11-30

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四肢軟部組織損傷は,部位,範囲および深度により治療法が選択される。皮膚や皮下脂肪層までの損傷に対しては,デブリードマンなど適切な創傷管理を行った後,縫合,植皮,局所皮弁による創閉鎖を行う。近年,創傷管理を行う際,局所陰圧閉鎖療法が頻用されている。

重要な血管や神経,腱,骨,関節が損傷,露出している場合,それらを修復し,被覆する必要がある。人工真皮や有茎(筋)皮弁が用いられることもあるが,マイクロサージャリーの発展により近年,血管柄付き遊離組織移植が多く用いられている。特に,開放骨折を伴う重度四肢軟部組織損傷の場合,早期(72時間以内)の血管柄付き遊離組織による再建が,骨髄炎などの深部感染を減少させ,骨癒合までの期間の短縮に寄与する1)との論調が主流になったことにより,広く定着した。

露出部の四肢軟部組織損傷に対しては,機能のみならず整容を考慮して,薄く,しなやかな組織による再建が必要である。近年,穿通枝皮弁の開発,発展により,皮弁採取部の犠牲を最小限にしつつ,整容的に良好な組織再建を行うことが可能となった。

【文献】

1) Godina M:Plast Reconstr Surg. 1986;78(3): 285-92.

【解説】

田村亮介*1,野村 正*2,寺師浩人*3  *1神戸大学形成外科 *2同特命講師 *3同教授

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