眼科領域では,再生医療も話題であるが,それ以外にもここ数年で診療が大きく変化してきた。診断技術として,光干渉断層計(OCT)が普及し,網膜像を平面的に眼底鏡でとらえていた時代から,網膜の断層像を診療に用いる時代となった。その結果,緑内障で生じる神経線維層の菲薄化や糖尿病網膜症などでの網膜浮腫を断層像として部位や程度もわかるようになった。
一方,治療分野では,角膜疾患に用いられてきたコンピュータ制御によるレーザー手術は,白内障にも応用され,既に海外では広く実用化されている。網膜剝離・糖尿病網膜症の外科的治療である硝子体手術は,20Gから25Gの器具に代わり,文字通り針穴から治療が行われ,手術創の縫合が必要ない場合もあるほどである。さらに,抗VEGF抗体の硝子体内投与など,内科的治療も大きく進歩した。
本特集では,これら現在眼科臨床で実際に行われている変革の一部を紹介したい。
【話題1】フェムトセカンドレーザー白内障手術
木澤純也 酒井大典
【話題4】網膜硝子体手術
村井憲一 坂本うみ