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【他科への手紙】皮膚科→血液内科

No.4880 (2017年11月04日発行) P.51

沖山奈緒子 (筑波大学医学医療系皮膚科講師)

登録日: 2017-11-01

最終更新日: 2017-10-31

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  • 血液内科の先生方には、皮膚原発リンパ腫治療に難渋したときや当科の症例に血球減少がみられたときなど、専門的な診察をお願いしております。

    逆に、当科が血液内科よりコンサルトを頂くのは造血幹細胞移植後の患者さんに皮疹が出たときの「移植片対宿主病(graft versus host disease: GVHD)でしょうか?」という場合などです。皮疹がGVHDであるか否かにより、治療方針が転換するであろうと思います。一方、皮疹からの診断の限界もお伝えしないといけません。

    GVHDの皮膚症状には、第一に、古典的には移植後100日目までに出現する急性GVHDである、手掌足底・四肢・前胸部などの浮腫性紅斑や丘疹、水疱・びらん形成、紅斑・丘疹が融合した紅皮症といった病像があります。

    第二に、慢性GVHD(発症時期は問わない)とされる扁平苔癬様病変、多形皮膚萎縮、強皮症様変化(皮膚硬化)、脱毛、爪変形の不可逆的皮疹もあり、急性GVHDと慢性GVHDの混在例もあります。

    慢性GVHDは、薬剤やC型肝炎など他の原因による扁平苔癬や強皮症・皮膚筋炎といった膠原病との鑑別は必要ですが、全体像からあまり悩むことはありません。しかし、急性GVHDの皮疹は視診上、中毒疹(ウイルスなどの感染症や薬剤に対するアレルギーによる皮膚症状)との鑑別が困難です。

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