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解説:遠隔診療、遠隔医療はどこまで広がるか?[特集:“第4の医療”、始動する遠隔診療]

No.4879 (2017年10月28日発行) P.21

登録日: 2017-10-27

最終更新日: 2017-10-25

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  • 遠隔診療は一般に健康増進、介護を含む“遠隔医療”の1分野とされる。政府が目指すのは大きな市場が見込める遠隔医療の普及。医療界、経済界の思惑が交錯する中、遠隔診療と遠隔医療はどこまで広がるか。

    遠隔診療を巡っては、4月14日に開かれた政府の「未来投資会議」で安倍晋三首相が、「診療報酬上の評価を行うとともに、遠隔診療の推進により、かかりつけ医による日常的な健康指導や疾病管理の効率性を飛躍的に向上させていく」と明言している。

    こうした流れを受け、規制改革推進会議は遠隔診療の取り扱いの明確化を提言。厚労省は、遠隔診療に関する解釈を改めて周知するため、7月14日に事務連絡を発出した。

    遠隔診療のみで初診料は算定できない

    現状の遠隔診療に関する取り扱いは表2の通り。遠隔診療を提供できる地域については、1997年のいわゆる“遠隔診療通知”で例示した「離島やへき地の患者」に限定しないことが改めて周知された。



    対象疾患についても同様に、97年通知で例示した在宅酸素療法を行っている患者や在宅難病患者など9種類に限定しないことが明確にされた。

    また“対面原則”を巡っては、厚労省医政局は医師法上の解釈として、対面診療と適切に組み合せて行われるのであれば、初診を遠隔診療とすることも可能であるとした

    一方、診療報酬に関して保険局は、遠隔診療のみで初診を行った場合は初診料を算定できないとの立場を示している。

    “自由診療の禁煙外来”は遠隔のみでも容認

    このほか、7月の事務連絡については、禁煙外来に関する解釈が、一般メディアで取り上げられた。事務連絡の概要は、保険者が実施する禁煙外来について、①定期的な健康診断・健康診査が行われていること、②患者側の要請、③患者側の利益と不利益を十分に勘案―などの要件を満たし、医師が判断して治療を行った場合には、遠隔診療のみでも医師法20条には抵触しないというもの。あくまで保険者による自由診療についての解釈であり、保険診療での禁煙治療に関しては一切言及していない点に注意が必要だ。「完全遠隔診療による禁煙外来が解禁へ」といった報道があったが、誤解を招く表現だろう。

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