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【コラム】アトピー性皮膚炎に対する薬物療法[特集:今、話題になっていること ─皮膚科編]

No.4878 (2017年10月21日発行) P.47

浅井俊弥 (浅井皮膚科クリニック院長)

登録日: 2017-10-20

最終更新日: 2017-10-18

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  • 過去のアトピー性皮膚炎に対する薬物療法

    アトピー性皮膚炎の治療に欠かせないステロイド外用薬にとって,1980年代後半は不遇の時代であった。アトピー性皮膚炎の成人例の増加や経過が遷延する重症例が多くなり,ステロイド外用薬の使用が原因と誤解された。そのため,「脱ステロイド療法」をうたった民間療法(アトピービジネス)が社会問題にもなった。皮膚科医はステロイド忌避のアトピー性皮膚炎患者への対応に難渋し,多くの時間を費やすことになった。また,ステロイド外用薬の顔面への使用が主原因である酒皶性皮膚炎や,口囲皮膚炎に対する最適な外用療法がないことから,治療にてこずる症例も少なくなかった。そのほか,乳児や幼児では成人に比べて皮膚が薄いため,皮膚萎縮や毛細血管拡張などのステロイド外用薬の局所的な副作用が生じやすいことから,ステロイド外用薬の使用に消極的な小児科医が多かった。

    当時,皮膚炎に適応を有する非ステロイド性抗炎症外用薬は,ブフェキサマク,イブプロフェンピコノール,ウフェナマート,スプロフェン,ベンダザックの5つを主成分とし,1970年代後半から使用されていた。小児科領域では,乳児の湿疹・皮膚炎の治療薬として,また皮膚科領域においても,ステロイド忌避のアトピー性皮膚炎患者に対する外用薬として比較的多く使用されるようになっていく。しかし,非ステロイド性抗炎症外用薬,中でもブフェキサマクは副作用として接触皮膚炎や光接触皮膚炎が稀ではなく,また外用の範囲を超えて皮膚炎が拡大するような重症例もみられること(図1)から,徐々に使用が控えられるようになり,ブフェキサマクについては2010年に販売を中止するに至った。

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