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CASE14 炎症反応陰性の筋関連酵素上昇/四肢の筋肉痛,筋力低下を呈した62歳女性[CAUTION!臨床検査の落とし穴]

No.4692 (2014年03月29日発行) P.53

松田正之 (JA長野厚生連佐久総合病院副院長兼内科医長)

登録日: 2014-03-22

最終更新日: 2017-07-31

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  • 【症例紹介】

    62歳の女性。主婦。既往歴,家族歴に特記すべきことはない。約3週間前から特に誘因なく四肢の筋肉痛が出現。買い物などで重いものを持ったあとや歩行後に増悪する傾向があった。同じ頃から階段の昇降や臥位からの起き上がりがスムーズに行えなくなった。自宅で様子をみていたが,症状に改善がないため近医を受診した。

    近医受診時には両上腕と,両大腿から下腿にかけての筋把握痛があり,徒手筋力検査では両上下肢の近位筋に筋力低下がみられた。血液検査(表1)で筋逸脱酵素の上昇を認めたため,多発筋炎を疑われて当院に紹介された。当院来院時には上記所見に加え,両下腿に非圧痕性浮腫を認めた。


    検査値のどこに悩んだか

    筋痛を伴う四肢近位筋優位の筋力低下が約3週間の経過で進行しており,筋逸脱酵素の上昇がみられる点は多発筋炎として矛盾しない。しかし,CRPがまったく正常である点が引っかかる。確かに多発筋炎でも炎症反応が目立たない場合はあるが……。これだけCKが上昇していて筋痛があればかなりの筋肉の破壊があるはずで,その原因が炎症によるものであれば多少なりともCRPに変化があってもよさそうなものである。あるいはCK上昇は炎症以外の原因によるものなのか?

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