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CASE08 低リン血症に気をつけろ!リンを調べるタイミング/アルコール依存症のために長期飢餓状態となり体動困難となった66歳男性[CAUTION! 臨床検査値の落とし穴]

No.4692 (2014年03月29日発行) P.31

西岡大輔 (東京勤労者医療会東葛病院)

下 正宗 (東京勤労者医療会東葛病院院長)

登録日: 2014-03-22

最終更新日: 2017-07-31

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  • 【症例紹介】

    66歳の独居男性。日常生活動作(ADL)は元来自立。普段からやることがないからと日時を問わず飲酒していた。ほとんど食事摂取はしていなかった。来院4カ月前より徐々に体を動かしにくくなり,3月30日,長男が訪問したところ床に突っ伏している患者を発見し救急要請。BMI13.8。既往歴・家族歴には特記すべき所見なく,喫煙歴は20本/日×50年間。飲酒歴は日本酒3合/日×50年間。受診時心電図ではT波の平低化,U波の出現を認め,血液検査(表1)で著明なカリウム,リン,マグネシウムの低値が認められた。


    検査値のどこに悩んだか

    本例は血液検査所見より著明な低カリウム血症,低リン血症,低マグネシウム血症を認めていた。病歴やその他検査所見より,低栄養,食事摂取不足によるものであることは推測できた。はたして本例の治療のために急速にカリウム,リン,マグネシウムなどの補正を行ってよいものだろうか。そして補正の経路をどう設定し,どの程度継続して行うのが最善なのだろうか。救急の初期対応では末梢から維持輸液にKCL補正液キットを混注して投与を行っていたが……。

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