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摂食嚥下リハビリテーション【超急性期から維持期まで,多職種連携による評価・介入が行われている】

No.4865 (2017年07月22日発行) P.63

井口はるひ (東京大学リハビリテーション医学)

芳賀信彦 (東京大学リハビリテーション医学教授)

登録日: 2017-07-20

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摂食嚥下障害は,脳卒中や神経難病などの中枢神経系疾患や頭頸部疾患などで生じ,生命維持に関わるほか,QOL低下に大きく影響する。摂食嚥下リハビリテーション(以下,リハ)は1980年代以降に発展し,リハ科・耳鼻咽喉科などの医師,歯科医師,言語聴覚士,看護師,栄養士など,多岐にわたる専門職が関わっている。

1994年に摂食機能療法が保険適用となり,摂食嚥下障害患者に看護師や言語聴覚士などが積極的に介入できるようになった。以降徐々に適応が拡大し,病院・在宅・施設で摂食嚥下リハが行われている。近年,ICUにおける摂食嚥下リハも注目され,超急性期からの介入も行われている。高齢者は摂食嚥下障害がサルコペニアの原因となり,明らかな原因疾患がなくても摂食嚥下障害になるため,注意が必要である。

摂食嚥下障害患者用の食品開発が進み,とろみ調整食品のほか,ゼリーやペースト食などの嚥下調整食品が多数市販されている。名称の混乱を避け,病院間や地域間の連携を円滑に行う目的で,日本摂食嚥下リハビリテーション学会が「嚥下調整食学会分類 2013」として統一基準を作成した1)。今後,摂食嚥下障害に対する診断方法としてワイヤレス嚥下内視鏡やマノメトリー,治療法として電気刺激や非侵襲的脳刺激(rTMS,tDCS)の普及が期待される。

【文献】

1) 日本摂食・嚥下リハビリテーション学会医療検討委員会, 他:日摂食嚥下リハ会誌. 2013;17(3):255-67.
[https://www.jsdr.or.jp/wp-content/uploads/file/doc/classification2013-manual.pdf]

【解説】

井口はるひ*1,芳賀信彦*2  *1東京大学リハビリテーション医学 *2同教授

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