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子宮内胎児発育不全の生育限界,娩出のポイント【生育限界に明確な数字はなし。娩出のポイントは胎児循環の評価と子宮内環境の改善】

No.4864 (2017年07月15日発行) P.57

松岡 隆 (昭和大学医学部産婦人科学講座准教授)

高橋雄一郎 (国立病院機構長良医療センター産科医長)

登録日: 2017-07-12

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  • 子宮内胎児発育不全(fetal growth restriction:FGR)の生育限界,娩出のポイントについてご教示下さい。
    国立病院機構長良医療センター・高橋雄一郎先生にご回答をお願いします。

    【質問者】

    松岡 隆 昭和大学医学部産婦人科学講座准教授


    【回答】


    我々産科医にとって,FGRは重要な疾患群のひとつです。染色体や構造に異常がない胎盤機能不全が主因と考えられる児の生育限界には,明確な数字があるわけではありません。そのため,妊娠22週以降,26週未満の時期における娩出のタイミングは,新生児科医との相談が重要となります。

    当院において,羊水過少は認めないものの重度の臍帯過捻転,臍帯動脈・静脈管逆流を認めていた一例では,生育限界の観点から帝王切開術の選択ができないままに胎児死亡となりました。妊娠23週0日で322gの児を死産されました。最も小さい救命例は,妊娠22週(推定体重199g)から人工羊水注入療法を行い,妊娠26週342gで出生となった児で,現在も大きな後遺症もなく生存しています。また妊娠高血圧症例では,羊水注入を行ったものの母体血圧の上昇の適応により,それ以上の妊娠期間の延長はできず,妊娠25週1日で398gの児を出産し,大きな後遺症もなく経過しています。

    娩出のポイントは,①胎児循環の正確な評価をいかに行うか,②既存の管理方法ばかりではなく子宮内環境の改善を図れているかどうかの2点です。

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