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無痛分娩事故報道のキャンペーン化に懸念【日本産婦人科協会】

No.4862 (2017年07月01日発行) P.17

登録日: 2017-06-21

最終更新日: 2017-06-29

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産婦人科施設の労働環境の改善を目的に医師、助産師などによって昨年発足した日本産婦人科協会(大川豊会長)が6月17日、都内でシンポジウムを開き、無痛分娩後の妊婦死亡や重度障害が起きた事例に関する報道が4月以降相次いでいることに強い懸念が示された。

講演した池下久弥事務局長(池下レディースチャイルドクリニック)によると、報道されているのは大阪府、兵庫県、京都府の3つの医療機関で発生した事例。事例の発生は今年1月、昨年、2012年とバラツキがあることから池下氏は「(報道の集中が)まるでキャンペーンのようだ」と警戒感を表明。記事では医師の実名と施設名が公表されており、家族側のコメントしか紹介されていないことに加え、「日本産婦人科医会に(事故を)報告していないことが分かった」と報じられていることに強い違和感を示し、このうち医会に重大事故事例を報告する制度については「法律で定められた制度ではなく会員の善意によるものなのに、なぜ未報告であることに制裁を加えるような記事になっているのか」と疑問を呈した。

医療訴訟に詳しい井上清成弁護士は、3事例のうち1事例では、本人と家族が9億4000万円の損害賠償を求めて提訴したことを紹介。「今までならこれほどの高額な損害賠償請求は起きないと思うかもしれないが、(報道が相次ぐ)今の状況下では、事前に対処したほうがいい」と述べ、日本医師会の医師賠償責任保険以外の保険にも加入することを推奨した。


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