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胎児心拍数陣痛図の評価【簡便で機能的な機器で安心を得ても,決して安全を保証されているわけではない】

No.4856 (2017年05月20日発行) P.57

牧野真太郎 (順天堂大学医学部附属順天堂医院産科・婦人科准教授)

松岡 隆 (昭和大学医学部産婦人科学講座准教授)

登録日: 2017-05-18

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  • 胎児心拍数陣痛図の評価について,最近のトピックスを教えて下さい。また,脳性麻痺に至ったケースでのピットフォールなどに関しても併せてご教示頂ければ幸いです。昭和大学・松岡 隆先生にご回答をお願いします。

    【質問者】

    牧野真太郎 順天堂大学医学部附属順天堂医院 産科・婦人科准教授

    【回答】

    分娩監視装置の胎児心拍計測は,超音波ドプラ法による自己相関を利用して推算し,児頭誘導から得られるRR間隔実測ととても相関が良く,また,装着も簡便で,よほどの悪条件でない限り再現性も良いです。一方,胎児心電図はRR間隔を直接計測でき,胎児不整脈の診断にも威力を発揮します。最近は1電極で計測可能な報告1)も出てきています。分娩監視装置に取って代わる機器になりそうですが,S/N比が問題になります。胎児の電気信号はとても微弱な上,母体が動くと筋電図に埋没してしまうため判読不能となってしまいます。分娩という長時間にわたり判読可能なトレーシングを行うことに関しては,分娩監視装置に分があると言えるでしょう。判読には分娩時のレベル分類をコンピュータが自動で判断する機器もあります。しかし,連続モニタリングや診断支援により安心は得られるかもしれませんが,決して安全を保証しているわけではないことを認識すべきです。

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