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ケロイドの外科的治療 【手術だけでは再発するが,手術直後から2~3回の放射線照射で再発予防が可能】

No.4851 (2017年04月15日発行) P.61

元村尚嗣 (大阪市立大学大学院医学研究科形成外科学教授)

小川 令 (日本医科大学形成外科主任教授)

登録日: 2017-04-13

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  • 私たちが研修医の頃,ケロイド(特に真性)外側にメスを入れると,そこからケロイドが広がるので禁忌,と指導を受けました。これは,経験からくる教訓やケロイドの病態や原因が不明であったからだと思います。しかし,現在は病態や原因の解明も徐々に進んでおり,最新のケロイド研究をふまえたケロイド(特に真性)に対する外科的治療について,日本医科大学・小川 令先生のご教示をお願いします。

    【質問者】

    元村尚嗣 大阪市立大学大学院医学研究科形成外科学 教授


    【回答】

    熱傷や外傷,手術,さらにはBCG接種やピアスなどによる傷が,赤く隆起するケロイドや肥厚性瘢痕(以下,ケロイド)と呼ばれる状態となることがあります。病理学的に言えば,真皮網状層が過剰に増殖した状態であり,膠原線維だけでなく毛細血管や末梢神経線維の増殖を伴い,見た目の悪さだけでなく,時に眠れないくらいの痛みや痒みを呈し,大変苦痛を伴う状態です。

    「ケロイド」の理解はここ10年で劇的に深まり,治療できる疾患となりました。発生機序で特に大切なのが,創にかかる張力です。創に張力が加わると,炎症が惹起され膠原線維の過剰な産生・蓄積が生じます。ケロイドは元来「創の範囲を超えて正常皮膚に浸潤していく」と「腫瘍」のように無秩序に増殖していくと考えられていましたが,引っ張られる方向に炎症が生じ,広がっていくことがコンピューターによるシミュレーションで示されました。

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