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【ここが聞きたい】「コアカリ」改訂で医学教育はどう変わる?〜北村 聖(国際医療福祉大医学部長)

No.4850 (2017年04月08日発行) P.14

北村 聖 (国際医療福祉大医学部長)

登録日: 2017-04-07

最終更新日: 2017-04-06

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  • アウトカム基盤型教育を強く意識
    診療科ごとの知識・技能の蓄積でなく
    コミュニケーション力や地域で働ける能力にも焦点

       

    〔略歴〕1978年東大卒。米スタンフォード大腫瘍学教室ポストドクトラルフェローなどを経て、95年東大臨床検査医学講座助教授。2002年同大医学教育国際研究センター教授。03年同大病院総合研修センター長。16年10月より国際医療福祉大教授。17年4月同大医学部長。

    大学医学部カリキュラムのうち、学修時間数の3分の2程度の目安となる「医学教育モデル・コア・カリキュラム」(コアカリ)が6年ぶりに改訂された(図)。改訂に当たって、文部科学省調査研究チームのリーダーを務めた北村聖氏(国際医療福祉大医学部長)に、改訂のポイントについて伺った。


    1枚の絵を描く”医学教育

    ─今回の改訂版では、9項目の「医師として求められる基本的な資質と能力」(図のA部分)が明確化されました。

    従来は医学教育の到達目標を「一般目標と行動目標」という言葉で表していましたが、今回の改訂で「ねらいと学修目標」という言葉に変更しました。言葉遊びをしているのではなく、設計思想が大きく変わったからです。
    今までの医学教育は、内科の単位、外科の単位という風に、教育を小さなユニットに区切り、それを集めれば良い医師ができ上がるという設計思想でした。でも、それはジグソーパズルでいえばバラバラのピースを寄せ集めているにすぎなくて、医師という“1枚の絵”を描けるものではありませんでした。
    今回の改訂に当たっては、outcome-based education(アウトカム基盤型教育)を強く意識しました。修得すべき知識を並べたリストではなく、まずアウトカム(到達目標)となる能力の全体像を明確化した上で、それを達成するにはどんな項目が必要かという組み立て方です。アウトカムとは、「基本的な資質と能力」にほかなりません。

    ─設計思想が変わり、重視される能力も変わったのですか。

    21世紀に入り、患者を臓器の集合体ではなく1人の人間として向き合いながら診る能力のある医師を社会が求めるようになりました。そうしたニーズに応えるには、患者さん中心に考える態度、コミュニケーション能力、地域で働ける能力など、診療科ごとのピースの「隙間」にあって見落とされがちだった部分をつなぎ合わせる能力が重要です。今回の改訂版では、そうした能力に焦点を当てています。

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